第六幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「やはり見当たらんか。超絶美女の巨人になら食われてもいいんだがのう」
『おい。ガキの前で何言ってんだよ』
「すまんすまん。じゃが、お前だって変な顔の巨人に食われるより見目麗しい巨人に食われたいと思わんか?」
『食われるより食う側だろ』
「お前にそんな性癖があるとは思わなかったわ」
『どんな解釈してんだよ!誰が巨人に食われたいと思うんだ』
「わしじゃよ」
『もういい。食われたいならさっさと食われてきてくれ。なんなら俺がそこから蹴り飛ばしてやろうか?』
「それは美女がいる時にしてくれ」
『止めないのかよ』
呆然としているエレンたちに気づいて、カイは咳払いを一つ。
『それで?どうするんだ?』
エレンが巨人化した理由は今は分からない。エレン曰く、自宅にある地下室に行くことが出来ればこの謎が解けるとのこと。
だが、エレンの家があるシガンシナ区は壁が壊されて簡単には入れない。
一先ず、巨人化のことは置いておくとして、今はこの街を奪還出来るかどうかだ。
「出来ると思うか?カイ」
『さあ?俺にはなんとも。やるのは俺じゃないから』
エレンが巨人化して壁の穴を塞ぐ。言うのは簡単だが、やるのは難しいだろう。他の巨人たちに狙われながら岩を担いで運ぶのだから。
『だが、これ以外方法は無い。そうだろアルミン?』
「は、はい……」
『それならあとはエレン次第だ』
やるかやらないか。それを今決断しなくてはならない。
「カイ……」
助けを求めるような眼差しをエレンから向けられるが、カイは苦笑いを返すことしか出来ない。これ以上は助けられなかった。
重荷を背負わせている自覚はある。エレンが穴を塞げなければ、後ろに続く街が巨人に占拠されるのだから。そうなれば人類は後退していき、最終的には滅亡の一途を辿る。その運命がエレンの肩に乗っかっているのだ。
普通ならそんな重圧に耐えられない。人類に心臓を捧げた兵士とはいえ、こんなことを望んでいたわけではないだろうから。
「やります。穴が塞げるかどうかはわかりません。でも、やります!」
『いいんだな?』
「ああ……俺がやらなきゃ誰がやるんだ」
『この街を捨てるという方法もある』
「そんなことしたら五年前と同じになるだろ!?」
エレンの言葉にアルミンとミカサはそっと目を逸らして俯く。シガンシナ区が陥落したとき、彼らはまだ幼かった。経験しなくていい苦労をし、ここまで生き抜いてきた。
「俺はやるよ」
『そうか』
誰に何を言われても覆らない。そんな目でエレンはカイを見返す。
『好きにしろ。フォローはしてやる』
これ以上言ったところでエレンの考えは変わらない。それならばカイに出来ることはただ一つ。
『お前は昔っから頑固だからなぁ。そのくせ弱い』
「はあ!?久しぶりにあったかと思えばなんだよ!」
『だってそうだろ。いつもミカサに助けられて。今回はアルミンに助けられてんじゃねぇか』
「ぐっ……それは……」
『良い友達もったな』
悔しそうに歯噛みするエレンの頭を乱暴に撫で回した。
.