第五幕
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「力尽きたみたいだな。もういいでしょう、クラウンさん。おい、お前らも早く壁の上に行くぞ」
悪態つくジャンに苦笑いを零す。生きるか死ぬかの状況で巨人の捕獲をしたいなんて無理を言ってしまった。
『もったいないことしちゃったなぁ』
「何言ってんすか!巨人は巨人ですよ。あんなやつらを味方になんて出来ないに決まってる」
『まあそれもそうか。でも、巨人を襲う巨人か。興味深いものを見た。これは報告しておかないとな』
直属の上司に言ったところで何の役にもたたない。報告するなら調査兵団にしたいところ。だが、そうなると必然的に団長と話をしなくてはいけなくなる。
出来れば、リヴァイかハンジに伝えることが出来ればいいのだが。
『無理だ。絶対アイツもツラ出してくるよな』
久しぶりなんだからお茶でも、とか言いながら出てくるはずだ。こちらが嫌っていることを知っていながらそういう事をしてくるのだからタチが悪い。
『いっそうのこと巨人と見間違えたと言って首をはねるべきだったか』
「クラウンさんさっきから何物騒なこと言ってるんですか……」
『ん?あ、いやこっちの話。よし、ほらお前ら上に行くぞ』
倒れた奇行種を眺めているミカサたちに声を掛ける。
先に行った訓練兵たちは無事に壁の上に登れただろうか。向こう側に行けば駐屯兵たちが助けてくれるはず。巨人の侵入は防げなかったため、人類はまた一歩内側へと追いやられた。
『中心の奴らはどうするかな。また口減らしに壁の外に人民を出すつもりなんだろうけど』
前回そうしたように。中のやつらは僅かな食料を確保するために人を犠牲にする。下の者のことなど考えない。ただ、自分たちが生き残るため、如何に楽に幸せになれるかを考える。
ずる賢さだけは天下一品だ。
『巨人の死体なんて見てたってなんも楽しくないだろ』
じっと見つめているミカサとアルミンに再度声を掛けるが、二人は微動だにしない。早く離脱しなければまた巨人と鉢合わせてしまう。通常種ならまだしも、厄介な奇行種が現れたら全員を守り切れる自信はない。
『ミカサ、アルミン、いい加減にしろ』
「カイ、あれ」
『なんだよ。何がそんなに面白くて──』
倒れている巨人を指差すミカサにカイは呆れながら応える。彼女らの視線の先を追って見ると、そこには異様な光景。
『おいおい……冗談だろ』
倒れた巨人の項から出てきたのは人。しかもそいつはカイがよく知る人物。
『なんでエレンが項に……?』
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