第五幕
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屋根に登って見えたのは巨人が巨人を食べている姿。
これまでいくつもの巨人を見てきたけど、共食いをしている所に居合わせるのは初めて。そもそも共食いの概念がある事に驚きだ。
『巨人が人間を食うのと同じことか?』
意味もなく人間を襲っている延長で、時には仲間の巨人も捕食するというのか。それなら常に共食いをしているところを発見するはず。
『やはりあの個体は捕獲するべきだな』
このままでは奇行種が食い尽くされる。立体機動が使えるようになった今なら巨人を倒すことが出来る。しかも奇行種の肉に夢中になっている状態なら尚更。
「カイ!」
『なんだ来たのか。壁を上れって言っただろ』
「何をするつもり」
『見てみろ。あの奇行種食われてる』
「食われてる?」
登ってきたミカサにため息を漏らしながら奇行種を指さす。
「どうして……」
『さあ?巨人の生態を完全に把握してるわけじゃないから』
二人で巨人を眺めていると後からアルミンやらなんやらが屋根に続々と登ってくる。
ジャンは巨人なんて放って壁を登れと声をかけてくるが、他三人はカイと同じく、奇行種を捕獲する提案をした。
『ほう……君たちの巨人を捕獲しようという意図は?』
「巨人を仲間に出来るかもしれないから」
「仲間に!?馬鹿なこと言ってんじゃねぇ!」
『ジャン。ちょっと落ち着けって。えっと、君は?』
「アニ。アニ・レオンハート」
『あの巨人を仲間に引き入れると?』
「はい。手懐けることが出来れば利点に繋がります」
「手懐けるだと!?本気で言ってんのか?クラウンさん、こいつらの話を真に受けないでください!巨人を仲間にするなんて無理ですよ!」
意思疎通の出来ない巨人を操るなんて無謀なことだ。それは分かっている。でも、目の前にいる奇行種は今まで人類が"普通"だと思っていたことを覆した。
人間を襲わない巨人がいるということを。
『ジャン、調査兵団ってのはいつも無謀なことやってんだよ』
「何言ってんすか!!ここに調査兵団の人達はいないんですよ。俺たちは訓練兵、あなたは憲兵の人でしょう!俺らはあの人達とは違うんです」
だからこれ以上、奇行種に興味を持たないでくれと懇願してくるジャンにカイは柔らかい笑みを向けた。
『なら、憲兵抜けて戻ろうか』
「えっ」
『なんでもない。さてどうす──』
どうするか、と呟いた刹那、奇行種が咆哮をあげながら動き出した。食われていた両腕が引きちぎれたのにも関わらず、奇行種は新たに現れた巨人へと走り寄る。
そしてその巨人の項へと噛み付いた。
両腕の代わりとでもいうように噛み付いた巨人を武器にするように振り回して周囲の巨人を薙ぎ倒す。
そして力尽きたのか、奇行種はその場に崩れ落ちた。
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