第四幕
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天井の梁に上り、アルミンたちが乗っているリフトが降りてくるのを待つ。
その間、カイたちは補給室をうろうろしている巨人達を見ていた。
『なあ、アイツってどういう表情なの?』
「えっ?アイツってどいつですか」
『あれあれ。あのなんかガタイの良いやつの下にいる巨人』
「ガタイ……ライナーのことっすか?」
『あ、あの子ライナーっていうのな。そう、ライナー君の下の巨人。不機嫌なのか?それとも喜んでんのか?』
「そんなこと聞かれても分からないですよ」
『そうか?他の巨人はにんまり笑ってんのにあいつだけやたら不機嫌そうじゃね?』
もう一度巨人たちを見渡して見るも、やはりあの巨人だけやたらと不機嫌そうだ。巨人に感情があるのかは分からない。ただそういう顔をしているだけと言われたらそれまで。
『奇行種ではないから大丈夫だろうけど……』
「つか、クラウンさんって巨人をよく見てるんすね」
『ん?なんか面白くねぇ?歩きかたもなんもそれぞれ違うだろ。まるで人間みたいに』
「俺たちと一緒にしないでくださいよ」
嫌そうに顔を歪めるジャンにカイは笑った。
『ああ、アルミンたち来たな』
ゆっくりと降りてきたリフト。待機している者たちに緊張が走る。
『ジャン』
「な、んですか」
『立体機動が無いからいつも通りとはいかないかもしれない。でも、お前らには経験がある。だから自信を持て』
「あっ……はいっ」
ジャン以外の訓練兵もカイの言葉を聞いて頷く。強ばっていた顔は和らぎ、その代わりに殺意が垣間見える。
『(血気盛んな訓練兵だ)』
自分が訓練兵だった頃にこれだけの者が居ただろうか。
思い出そうとしても誰一人として思い出せない。共に調査兵団に配属になった者もいたはずだ。それでも記憶に残っておらず、名前や顔さえ出てこなかった。
生き残っていれば、きっと覚えていただろうに。
そんなことを考えている間に銃声が補給室に轟いた。途端にジャンたちが巨人の項へと飛んでいく。
『打ち漏らし発見』
上手く項を切れなかったのか、二体の巨人が立っていた。そいつらは自分を狙った人間の方を振り向いて足を踏み出した。
「カイ!!」
『距離がある。二体一気には無理だな。ミカサ、手貸せ』
梁に縛り付けておいたロープを下へと垂らす。それを伝って上がってくるミカサを見てからカイは巨人の方へと飛んだ。
『やっぱ立体機動って大事だよなぁ』
「あ、あ……」
『大丈夫か?』
項を切られた巨人はズシンッと倒れる。その先に見えた男子は柱を背にして固まっていた。
「ミカサ!助かりました!」
もう一体の方も倒せたようで、仕留め損なってしまった女子が泣きながらミカサに縋りついていた。
「あ、ありがとうございます」
『どういたしまして。怪我はないか?』
「はい。大丈夫です!」
『そりゃ良かった。動けるのであればガスの補給をするぞ』
これで補給室は安全になった。窓のない場所だから外の状況が全く分からない。巨人が入ってくる気配がないということは、あの奇行種がまだ暴れ回っているということなのだが、それもいつまでもつか。
『ミカサ』
「なに?」
『ガスを入れ次第、すぐに壁を登れ。いいな?』
「カイはどうするの?」
『外にいる奇行種を捕獲できないか試してみる』
「ダメ。危険すぎる」
『出来なさそうであれば俺も登るから』
「一緒に登って。巨人を捕獲するなんて無謀なことしないで」
『無謀、そうだな。普通に考えれば無謀だよな』
ミカサの言うことは正しい。巨人を捕まえるなんて普通は考えない。
普通は。
『んー、多分、いや絶対欲しがると思うんだよな』
奇行種をハンジに渡すことが出来れば、これまで分からなかった事などが解明されるかもしれない。調査兵団にとって有益な情報となる。
もし飼い慣らすことが出来たならば。あれは絶大な力となるだろう。
『確認だけしてくる』
ミカサの制止の声を払い除け、カイは先に建物から出る。屋根に上って巨人を探すと、そこには驚きの光景。
『へえ?巨人ってのは……共食いすんのか』
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