第四幕
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「あの、クラウンさんこれって使えるんですか?」
『あー、どうだろうな。アイツらのことだから用意するだけ用意して、定期点検とかしてないと思うぞ』
ジャンが持ってきたのは憲兵団の方で用意していた銃火器。
カイが立体機動を持ってきた時と同じく、それもホコリを被っていた。
「無いよりはマシじゃないですか?」
『そりゃそうだけど……弾はあったのか?』
「はい。こっちもホコリまみれですけど」
『仕事もしない、備品の管理もできない。憲兵ってのは普段何してんだか』
「クラウンさんも憲兵じゃないんすか」
『うーん。憲兵ではあるけど、アイツらからしたら俺は異質だからなぁ』
「異質?」
彼らはほぼ毎日酒に溺れている。中には真面目に仕事をする者もいるが、それもごく少人数だ。殆どの兵士は仕事を放棄して飲んだくれている。
それが嫌でカイはいつも町の巡回に出ていた。そのせいで、周りからは変人呼ばわり。おかしいのはどっちだと言いたい。
『キルシュタイン君』
「ジャンで良いですよ」
『そ?ジャン君、君は何処を希望してるんだ?』
「え、あ、俺は……憲兵団を」
『ジャン……』
じとりとジャンを見ると、彼は慌てたように手を振る。
「俺はちゃんと仕事しますよ!」
『先輩たちの言葉を断れるのか?』
「ゔ……頑張ります」
この感じではすぐに流されてしまいそうだ。
ジャンは磨けば良い兵士になる。憲兵団に入るより駐屯兵団に入った方が彼の良さをもっと引き出せるだろう。
憲兵を望んだということは調査兵団には行きたくないということ。そりゃ誰だって自ら死地に行くようなことはしたくない。安全に暮らすなら内地に勤務するべきだ。
『まだ入ってもないのに脅すなよってな。同じところに配属されたら助けてやるから』
「あ、ありがとうございます!」
『新人だからといって甘やかさないからな』
「ぐっ、」
ずん、と落ち込んだジャンに笑いかける。一々反応してくれるからついいじめ過ぎてしまった。大丈夫だから気にするなと声をかけても、ジャンはこくこくと頷くのを繰り返すだけ。
『悪かったって。そんな意地悪しないから』
「……いや、早く仕事覚えたいんで厳しくしてください!」
『うわ、まさかの』
まだ若いというのに。どこでそんな社畜精神を刷り込まれてきたんだ。今の訓練所では仕事熱心になるように人格矯正でもしているのか。
『ほどほどにしような。いきなり全部覚えようとしたら中途半端になるからさ』
やる気十分なのはいいけど、途中で折れてしまわないか心配になる。真面目なやつほど憲兵団は合わないから。
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