おまけ
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~思い出~
「ねぇ、リヴァイ。カイってさ昔の話し方に戻ったの?」
カイとエレンたちが話しているのを横目に紅茶を飲んでいたリヴァイの所へとハンジがやってきた。椅子にどかりと腰を下ろしたかと思えば、カイの方をじっと眺めて一言。
「いや、戻ってないが」
「でも、この間エルヴィンのこと名前で呼んでたよ?」
「たまたまだろ」
「たまたま?あのカイが?エルヴィンと顔を合わせれば嫌な顔をして"クソハゲ!"って悪態つくカイがたまたま?」
ハンジの言いたいことは分かる。あれだけエルヴィンを嫌っているカイが、名前を呼ぶのでさえ嫌がっていた者が突然エルヴィンと呼べば不思議だろう。
「動揺してたんだろ」
リヴァイ班が壊滅し、生き残ったのは自分とカイとエレンのみ。他のメンバーは女型に殺された上に遺体まで持って帰ることが出来なかった。
そのショックが酷すぎてカイはエルドたちが死んだことを受け入れられずに"全員分"の食事を作ってしまった。
あれを見た時は背筋が凍った。これはなんの恐怖体験だと。
「そっか。皆死んじゃったんだもんね」
「カイの前であまり言うな。やっと落ち着いてきたところだ」
「うん、そうだね。ところで、エルヴィンのことは名前で呼んでたけど、リヴァイのことはそのままなの?」
「あ?」
「だって、前はリヴァイのこと"リヴァイさん"って呼んでたじゃないか。今もリヴァイのことを尊敬してるのは変わらないんだろうけど、前みたくかっちりとした話し方じゃないだろう?どう?たまには以前のような話し方が聞きたいと思わないかい?」
「別に……」
──リヴァイさん!
ふと、昔の記憶が呼び起こされる。新兵だった頃のカイはリヴァイに敬語を使っていた。今もあまり変わらないが、リヴァイの後をヒヨコのようについてきていたのだ。
周りから親鳥に引っ付いている雛のようだと揶揄されて。
「カイ」
エレンたちと話していたカイに声をかける。リヴァイの声に反応してこちらを振り向く。
『リヴァイ?どうした?』
「ちょっとこっちに来い」
『うん?』
きょとんとした表情でこちらに来たカイは椅子に座っているリヴァイと目線が合うようにと傍にしゃがんだ。
『なに?』
「……いや」
『え?』
「なんでもない」
呼びつけたはいいが、何か用があったわけではなかった。ただ、カイを傍に置きたくて。
『理由もなしに呼んだのかよ』
ふはっと笑うカイの頭へと手を伸ばす。
髪の中に指を差し込み梳くように頭を撫でれば、カイは気持ちよさそうに目を細める。
「ちょっと、リヴァイ。あっち見てみなよ」
「あ?」
ハンジが指差す方。そこにはミカサとエレン。ショックを受けて固まっているエレンの横でミカサはリヴァイのことをこれでもかと睨んでいた。
「はっ、」
そんな彼らを鼻で笑う。
残念だったな、と心の中で嘲りながらリヴァイはカイの頭を撫で続けた。
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