第三幕
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「うおおおおおおおお!!!」
巨人の雄叫びと共にカイの身体はずるりと下に落ちる。
何が起きたんだと状況を確認する暇もなく、カイはワイヤーを引っ張られて基地の中へと引きずりこまれる。
「カイさん!!大丈夫ですか!?」
『アルミン、ミカサ!二人とも無事だったのか!』
「私たちは大丈夫。それよりカイは……」
『俺は大丈夫だから。てか、今何が起きてるんだ?』
カイを巨人から助けたのはミカサとアルミンじゃない。まさかの巨人だ。
カイを握りこんでいた巨人は横から現れた新手に頭をぶん殴られて倒れこんでいる。
なぜ巨人が巨人を攻撃しているのかは分からないが、そのおかげで助かったのは事実だ。
「あの巨人は奇行種なんです。ガス欠で動けなくなったミカサもあの巨人に助けてもらった……いや、偶然助かったんです」
『"偶然"ね』
アルミンが奇行種だと指さした巨人を眺める。他の巨人を蹴散らしているそいつはこちらには一切見向きもしない。ヤツらの習性は人間を襲うことだ。
その定説が今まさに崩れようとしている。
『こいつは調査対象だな。良かったなハンジ、これまた面白い巨人が出てきたぞ』
きっとハンジであれば、あの奇行種を捕獲対象にするはずだ。いや、ハンジでなくとも捕まえて研究をするだろう。
『ミカサ、アルミン。あの巨人は殺さずに生かしておけ。このままここら辺で暴れてもらおう』
「はい!」
「わかった」
ミカサたちが壁を登れたらあの巨人を弱らせればいい。他の巨人にやられそうになったら助太刀に入るが、今はまだ大丈夫そうだ。
『巨人に知性はないとされていたが……それも変わるかもしれないな』
巨人の弱点である項を奇行種は重点的に狙っている。巨人が巨人を殺すというのを初めて見たからそう思うだけなのかもしれないが。
『とりあえず俺たちはガスと刃の補充をしに行こう』
眺めているだけではダメだ。補給基地に入れたのだからやることをやらねば。
奇行種から顔を逸らそうとした瞬間、かちりと目があった。
じっとこちらを見る大きな瞳。
「カイ?どうしたの?」
『いや……なんでもない』
巨人相手に懐かしさを感じるなんて。そんな馬鹿げた話があるか。自分自身に呆れつつ、基地の内部へと向かった。
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