おまけ
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~寝顔~
──案外可愛い顔してんのな。
リヴァイの寝顔を見たカイはそう言っていた。まさかそんなことを言われると思わなくてその時は固まってしまったが今なら言い返せる。
「お前の方が……」
リヴァイの手を握って眠っているカイの顔をじっくりと見る。先程まで怒られてビクついていたのが、今では穏やかな表情。夢の中で楽しいことでもあったのか、時折嬉しそうな顔をしていた。
「カイ」
空いている右手でカイの頭を撫でる。サラリと流れた髪が顔にかかってしまい、カイは擽ったそうに身を捩った。髪の毛をかき上げてやれば、規則正しい寝息が聞こえてくる。
「勝手なことはするな。何かあったらどうするつもりだ」
眠る前、カイはリヴァイに黙ってエレンを外に連れ出していた。バレなければ大丈夫だと言ったのだろう。階下からエレンの反対する声が聞こえていたので、リヴァイは呆れのため息を零していた。
城の周りをフラフラしたあと、カイは城前でエレンと寝転んでいた。たまたまその位置はリヴァイの部屋の窓から見える場所だった。何を話していたのかは知らないが大方の予想はつく。今日行った実験のことを慰めているに違いない。
カイはやたらとエレンに気を遣うから。
話が終われば中に戻ってくるだろうと眺めていた。それがまさか戻るどころか二人の距離が近くなるなんて。
「あのクソガキども……!」
言い表せない怒りに奥歯を噛み締める。早くあの二人を引き離さなくては、とリヴァイは城を出た。
エレンを地下に行かせ、カイには接近禁止令を出したのだが、それでもこの怒りは収まる気配はなかった。何に対してこんなにも苛立つのかは分からない。ただ、エレンとカイが親しくしているのを見ていると心がザワつく。
だから自室に戻らずカイの部屋に残った。あれだけ怒ったのだからエレンの元に行くことは無いのはわかっている。それでも疑いの余地は晴れず、見張ることにしたのだ。
『ん……』
もぞりとカイが動いたので頭を撫でていた手を止める。
「エレンに近づき過ぎるな」
あれはリヴァイでも抑えきれないほどの怪物だ。己の欲望に忠実で、他者の話など聞きもしない。まだカイの言葉には素直に従ってはいるが、それもいつまで持つか分からない。
いつか必ず、カイのことも食い潰すに違いない。その時、リヴァイのように躾だと言って蹴り飛ばすことが出来るのか。
断言出来る。カイにはそんなこと出来ないと。
弟みたいなものだと可愛がっているヤツを蹴り飛ばせるほどの非情さをカイは持ち合わせてはいない。口では説得を試みるかもしれないが、手は出ないだろう。
そこが甘いんだ、こいつは。
「そばに居ろ。じゃねぇと守れるもんも守れねぇだろう」
やっと自分の元に帰ってきた。次こそは必ず護る。
巨人からも、人からも。
そっと頭を一撫でしてから、リヴァイは静かにカイの部屋を後にした。
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