おまけ
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~料理~
「今まで料理したことないの?」
『無いよ。家でも手伝うことは無かったし、訓練兵の時は食堂のおばちゃん居たし』
古城に移ってから数日後の夜。カイはペトラと共に台所へと来ていた。
食事の準備は当番制となっており、今日の担当はカイとペトラだ。
とはいえ、カイは一度も料理をしたことはない。これまでやる機会がなかった。だが、本部から離れたここは自分たちで作らなければならない。
並べられている材料を眺める。今日はパンとシチューにするのだろうか。
「じゃあ、カイ貴方は野菜を切ってくれる?」
『わかった……ええと……』
「まずは泥を落として。ヘタと根っこを切って皮を剥くの」
バケツに入っている水で野菜を洗い、渡された包丁で言われた通り非可食部を切り落とす。そしてそこからが問題だった。
『皮を……剥く』
「皮だけだからね。身まで削らないようにして。じゃないと食べるところが無くなるわよ」
これはどこまでが皮なんだ。とりあえずと包丁を野菜の側面に当てる。薄く削ればいいと言われたので、気をつけながらスっと刃を通した。
「ペトラ」
「リヴァイ兵長!どうしました?」
台所へとやってきたリヴァイは壁に寄り掛かりながらカイの方をじとりと見た。
「大丈夫なのか」
「え?ああ、カイですか?大丈夫だとは思いますけど……」
『あっ』
「え?なに?」
『ごめん、指切っちゃった』
「えっ」
見られていると思うと緊張する。皮を削ることに集中しようと思っても、リヴァイが向けてくる視線のせいで気が散ってしまった。
包丁を握る手に力が入りすぎて勢いよく刃を滑らせてしまい、左手の親指をサクッと切ってしまった。
「嘘!カイ、洗って!」
『はいはいはい』
用意してくれた水に左手を突っ込むが、じくりとした痛みを感じてすぐに手を出してしまった。
『痛い……』
「切ったから当たり前でしょう。ほらちゃんと洗ってください。手当てしますから」
『なんでこんな小さい傷なのにこんな痛むんだよ』
「文句言ってないで洗う!」
水に再度手を入れるもやはり痛い。ペトラが救急箱を取りに行ったのを見計らって手を抜こうとすると、後ろから肘を掴まれて水の中へと戻された。
『痛いんだけど』
「ちゃんと洗え。小さな傷といえど甘く見るな」
リヴァイに肘を押さえ込まれてしまい、仕方なく傷口を洗った。
「お前はまともに飯も作れないのか」
『こっちは生まれて初めてやってるんだよ。仕方ないだろ』
「教えてやるから覚えろ」
『……えっ』
「あ?」
『リヴァイ料理出来んの??』
「バカにしてんのかてめぇ」
その後、ペトラに傷の手当てをしてもらい、リヴァイの指導の元シチューが完成した。歪な形の野菜にエルドとオルオに笑われたが、グンタとペトラはよく頑張ったと褒めてくれた。エレンは何故か無言で食べていたけれど、おかわりしていたから味は悪くなかったのだとみえる。
『どうよ』
「初めてにしては悪くねぇな」
『まあほとんどリヴァイが作ったようなもんだけど。なあ、次作る機会があったらまた教えてくれるか?』
「次があったらな」
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