おまけ
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~掃除~
「カイ、リヴァイ兵長は掃除にはうるさいのよ。だからちゃんと掃除するのよ?」
『おー、了解』
ペトラに雑巾とバケツを手渡される。本当にコイツ大丈夫か?という目線を向けられ、カイはにこりと笑った。
『大丈夫大丈夫。ちゃんと綺麗にするから』
「本当に気をつけてくださいね?」
念を押してからペトラは箒を手にして階段を降りていく。彼女の姿が見えなくなってから、カイは重たいため息を吐いた。
『徹底されてんな……部下も潔癖症にさせるつもりか?』
女性は細かいところに気づきやすい。そして綺麗好きが多い印象。だからちゃんと掃除をしてくれと言っているのだと思ったら、二言目にはリヴァイが口うるさいのだと言ってくる。
彼女の性格が、ではなく、リヴァイが掃除にうるさいから注意されたのだ。ペトラだけでなく他の班員も掃除には気をつけろと言ってくる始末。
『はあ……しょうがない。やるか』
自分の部屋とはいえ手は抜けない。掃除が終わり次第、リヴァイのチェックが入るからだ。少しでもホコリや汚れが残っていたらもう一度掃除をし直せと言われる。
憲兵に入る前に散々怒られたから嫌というほど知っていること。そのせいで掃除や洗濯に関して詳しくなってしまった。
『まずは天井からだな。蜘蛛の糸が酷い酷い』
部屋の隅に張られている蜘蛛の巣を箒で払う。住処を失った蜘蛛が天井を走り回るのを見て申し訳なく思った。だが、これからここは人間が使うのだ。自分だけであれば見逃していたけど、城に居る人物のことを考えるとそうもいかない。
『ごめんな。別の場所で家を作ってくれ。出来ればリヴァイの目に入らないところで』
でないとまた住処を壊される。天井を伝って部屋から出て行く蜘蛛を見送ってから掃除を再開した。
「おい!カイ!」
『うん?あれ、オルオ?』
窓から顔を覗かせたのは立体機動で外側の窓を掃除していたオルオだった。
「ちゃんとやってんのか」
『やってるやってる。そっちは?綺麗になりそう?』
「なりそうじゃなくて、してんだよ!汚れ一つ残してみろ?リヴァイ兵長からお叱りを受けるからな」
『お叱りって……』
「お前はまだ知らないと思うが、リヴァイ兵長は掃除には厳しい人だ。手を抜こうなんて考えるなよ。すぐにバレる」
『ああ、さっきペトラから言われたまんまだ』
まさかこの話は班員に会う度に言われるんじゃないだろうな。そりゃ新兵として班に入れられているから言われるのは分かるが、同じ文言を何度も聞かされるのはちょっと面倒だ。
『大丈夫なんで。ちゃんと掃除してるから』
「後で見に来てやる。いいか?ちゃんと隅々まで掃除しろよ?じゃないとリヴァイ兵長に──い゙っ」
『はーい。気をつけまーす』
喋っている途中で風にあおられ、オルオは体勢を崩した。舌を思い切り噛んだオルオは口の端からダラダラと血を垂らしている。
「あ!?オルオ!お前、血を垂らしてんじゃねぇよ!掛かっただろう!」
どうやらオルオの真下にグンタが居たみたいで、ボタボタと垂れ落ちた血を受け止めてしまったらしい。
『可哀想に。血の雨なんか嬉しくないわ』
騒がしくなってきた外に苦笑いを零し、窓から離れる。
『さて、掃除しよ』
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