第二十三幕
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「おい」
ガタン、と身体が揺れるのと同時にリヴァイの声が聞こえ目を開ける。
「お前、怪我をしてる自覚はあるのか?」
『それはリヴァイに言われたくないなぁ。そっちだってエレン止めるために立体機動持ち出したくせに』
馬車の中で横になっていたせいか身体の節々が痛い。こんな固い椅子では休むに休めなかった。
「ハンジに止められたそうじゃねぇか」
『その後にモブリットに行っていいかって聞いたら怒られた』
起き上がろうと身体に力を入れるが、少しの動きでもダメなのか腰の痛みで撃沈した。
「動くな。じっとしていろ」
『そうしたいんだけど……流石にもう頭が痛い』
寝心地の悪さは満点だ。こんなところに何時までも横になっていられない。本当は寝ている方が一番楽だが、今の状態であれば座っている方がいい。
「頭を上げろ」
『え?頭?』
言われた通り頭を上げると、その下にリヴァイは腰を下ろす。
『……えーっと』
「しんどいんだろ」
『いやまあ、そうなんだけど。そうなんだけ……ど?』
頭の下にはリヴァイの太もも。このまま頭を下ろしたら膝枕になる。人類最強の膝枕。
『貴族が使ってるどの枕よりも高級なんだが』
「文句言ってないで早く寝ろ」
『しかもこの枕怖い』
グイッと頭を押されて無理矢理寝かされる。確かに床よりかは大分楽だ。柔らかい枕になったから頭の痛みは緩和された。でもその代わりに恥ずかしさが込み上げてくる。
『リヴァイ、俺の上着はどこ』
「エルヴィンが持ってる」
『なんでクソハゲに?』
「持って動けねぇだろ。だから預けた」
『なんで回収してないんだよ……』
「あいつはこれから事情聴取だ」
上着を返してもらう前にエルヴィンは憲兵に連れていかれた。そしてカイたちもエルヴィンの調書が終わり次第、憲兵に呼び出されるとのこと。
『じゃ今、羽織るもんは無いのか』
出来れば顔を隠したかった。恥ずかしさで段々と頬が熱くなってきているのは分かっている。このままでは顔が赤くなっているのをリヴァイに知られてしまう。
「寒いのか」
『あ、いや……あ、うん。寒い』
上着が欲しい理由は言えない。
仕方ない、と諦めて目を閉じる。もうこのまま寝てしまおう。
「それならこれを使え」
『え?』
ばさっと上半身に掛けられたのはリヴァイの上着。
『それじゃリヴァイが寒いだろ』
「そんなに寒くねぇ」
『あ、っそ』
掛けられた上着を鼻先まで引っ張ると微かに石鹸の匂い。
『良い……匂い』
「…………は」
『まだ加齢臭出てないんだな』
「はっ倒すぞてめぇ」
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