第二十三幕
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「すごい……」
「凄いなんてもんじゃねぇよ……つか、援護するようにって団長に言われたけど俺たち必要か?」
カイと共に女型の元へと飛んでから数分後、アルミンとジャンはカイの姿を見て思わず感嘆の声が漏れた。
「まるで鳥だ……」
女型の周りを飛び回るカイにアルミンは釘付けになっていた。隣にいるジャンも同じように目が離せないでいる。
カイが立体機動の扱いに長けていることは何となく知っていた。以前、アルミンが全てに絶望して動けなくなっていたところにカイが助けに来てくれたのだ。自分を小脇に抱え、ワイヤー一本で飛び回っていたのをよく覚えている。
その時は憲兵にしてはとても器用な人なんだと思っていたが、後々に元調査兵だと聞いて腑に落ちた。調査兵団となれば皆、立体機動装置のプロだと。
でもカイはその中でも群を抜いている。まるで彼には見えない翼が生えているのではないかと思うほど軽やかな動き。立体機動は俊敏な動きが出来るが滑らかさに欠ける。直線にはとても強いが、湾曲動作となるとガスの噴出やアンカーの刺し位置などを細かく切り替えなければならない。
それをカイは息を吸うように簡単にやってのけている。
「ダメだ……僕たちが近づいたら逆に邪魔になってしまう」
「でもクラウンさん一人に任せるわけにはいかねぇだろ」
「多分だけど、エルヴィン団長は端からそのつもりだったんじゃないかな」
「は?」
「アニの誘導はカイさん一人に任せるつもりだったんだ」
「じゃあ俺たちはなんなんだ」
「保険だよ。カイさんが動けなくなった時の」
先の壁外遠征でカイが怪我をしたというのをエルヴィンに聞かされた。怪我をした本人は何ともないと言い張っているが、治療した医師は骨折はしていないが、打撲が酷く激しい動きなど出来ないだろうと。
そんな人が立体機動で巨人の誘導をするなど無謀なこと。
それでもエルヴィンはカイにこの役を任せた。
「なんでそんなことさせんだよ……」
「それは分からない。分からないけど……」
カイが言い出したとしてもエルヴィンは断っていたはず。
「カイさんは……仇が取りたい……のかも」
アニはリヴァイ班を壊滅させた。エレンもその事を恨んでいる節があるようにみえた。そうなればカイだって同じようにアニに対して恨みを抱いているだろう。
それが晴らせるとしたら今しかない。
アニの周りを飛び回るカイは終始無表情だ。怒りも悲しみも感じられない。ただ、任務に集中しているだけ。
「もうすぐだ」
数十メートル先に仲間達が罠を張って待っている。そこまでアニを連れて行ければあとは巨人の中からアニを引きずり出すだけ。
「お、おい!アルミン!」
「ま、まさか……!」
驚いたジャンが指差す方向。そこには地面に降りたカイの姿があった。
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