第二十二幕
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「妙だな……さっきの爆発のような音といい……」
「ナイル!すぐに全兵を派兵しろ。巨人が出現したと考えるべきだ」
リヴァイと共に外に出ると、先にエルヴィンがナイル・ドークに声をかけていた。
「な……何を言ってる!ここはウォール・シーナだぞ!巨人が現れるわけがない!」
『これだよ……。エレンの例を見てなんでまたあんなこと言えるもんかな』
少し考えれば分かるものを一々言葉にするナイルに呆れてため息が出てしまう。そんなカイにそばに居た憲兵が銃口を向けてきた。
「黙ってろ。このクソ野郎」
『は?』
銃口を向けているのは先程馬車の扉を開けた者。しかもそいつの顔には見覚えがあった。
『お前確か……』
「てめえのせいで仲間が農地送りにされたんだ。その報いは受けてもらうぜ」
トロスト区の兵舎にいた時に度々嫌がらせをしてきたやつだ。嫌という程よく覚えている。こいつの発言でカイの立体機動は捨てられてしまったのだから。
『あー……お前か。思い出したわ。あの時はどうも』
「どうもじゃねぇ!!てめえがウチに来なければッ!!」
ガチャリ、と引き金に指を掛ける。いつでも撃てるという脅しなのだろうが、カイは気にせずエルヴィンの方を見た。
『こんな時に私怨なんか挟むんじゃねぇよ』
「こんな時くらいしかお前を殺せないだろ」
「おい。お前、何か勘違いしてないか?」
無視しようとしていたところにリヴァイが割って入る。カイと憲兵の間に身を滑り込ませて、憲兵を睨み上げた。
「てめぇらが変なことしなければ罰せられることも無かっただろう」
「うるせえ!こいつが最初から憲兵に来なければよかったんだ!お前ら調査兵団もこいつがお荷物だからこっちに寄越したんだろうが!」
「誰がお荷物だと?」
『分かった分かった。すっごく恨んでるってのは理解した。でも今はそんなことをグチグチ言ってる状況じゃない。すぐそこで巨人が動いてんだよ』
このまま放っておいたらリヴァイは確実に憲兵を蹴り飛ばしそうだ。まだ治ってない足で無理はさせてはいけない。睨みが強くなったリヴァイを後ろから抱き込むように押さえ、カイはナイルの元へ行くように言った。
『文句言う前に仕事しろよ』
「くっ……」
渋々銃口を下ろしたそいつは代わりにとカイのことを強く睨んで立ち去って行く。やっと静かになったと胸を撫で下ろしていると、腕の中でリヴァイがモゾりと動いた。
「おい……」
『あ、悪い。だってあのままにしてたらお前、絶対蹴ってただろ』
「だからって抱くやつがあるか」
『なんだよ。さっきおんぶは悪くないとか言ってたのに』
こちらを振り向いたリヴァイは何故か絶望顔。そんなに嫌だったのか。
「チッ……」
『悪かったって。二度としないから』
「そういう意味じゃねぇ」
『じゃあどういう意味だよ』
「クソ……!」
散々悪態ついて、リヴァイはエルヴィンの元へと歩み寄る。何がそんなに気に食わなかったんだ?と不思議に思ったが、リヴァイの背中を見て何となく分かった。
『(身長のこと気にしてるのか?)』
歳下にあんなふうに抱き込まれたら確かに嫌だ。咄嗟にリヴァイの動きを封じようとして子供を抱くように腕を回してしまっていた。身長差があるからこそ出来たことだ。
『んー……うん。それは仕方ない許せ』
「なにブツブツ言ってんだ」
『なんでもない。なんか、うん。悪いなぁと思いつつ可愛いなぁって』
「お前、蹴られたいのか?」
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