第二十一幕
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「やあ、三人とも!今日の遠征は大変だったねぇ」
「ハンジ……」
扉を開けて入ってきたのはハンジとエルヴィン。陽気に笑うハンジにエレンは頭を抱えたくなった。
なんでこんな時にこの人たちは来たんだ。あまりにも空気が読めなさすぎる。
「うーん!なんだか良い匂いがするね。食事の途中だったのかな?」
「すまない。話があって来たんだが……」
何も気づいていないハンジの後ろで、エルヴィンは何かを察したのか表情を曇らせる。
『丁度いいわ。ちょっと作りすぎたんだ。ハンジとエルヴィンも食べてくれ』
「え?いいのかい!?」
『俺らだけじゃ食いきれないから』
「(あれ……今団長のこと名前で呼んでたよな)」
いつもエルヴィンのことを"クソハゲ"や"クソ変態野郎"と呼んでいるのに今、確かにカイはエルヴィンと名前で呼んでいた。
「カイの手料理なんて初めてじゃないか?エルヴィン、良い思い出になると思うよ」
「ああ、そうだな」
盆に乗っている皿を取り、ハンジとエルヴィンは各々席につく。この空気の中で食事なんぞとったら喉に詰まらせそうだ。
『好きに食べてくれ。ちょっと俺、外出るから』
「どこに行くんだい?」
『少し……頭を冷やしてくる』
「そう。身体を冷やさないようにねカイ」
『ん。エルヴィン、それ頼んだ』
「ああ、わかった。残さずいただこう」
『悪い』
一人食堂を出て行ってしまったカイの後を追おうと腰を上げる。このまま一人にさせてはいけないと思って。
「エレン」
「な、なんですか」
「お前は飯を食ってろ」
「ですが!」
「聞こえなかったか?お前はここに残れ。一つも残すな」
リヴァイに引き止められて仕方なく椅子に座り直す。自分がカイのことを追いかけたかったのに、リヴァイに先を越されてしまった。
「リヴァイ。カイのことよろしくね」
「……ああ」
パタン、と扉が閉められまた静寂が訪れる。
「ねぇ、エルヴィン」
「なんだ?」
「大丈夫だと思う?」
「さあ……。だが……今回は大丈夫な気がするよ」
「そうだね。私もそんな気がするよ」
ハンジとエルヴィンはカイたちが出ていった先を見つめる。その顔に心配などなく、ただ優しく見守っているように見えた。
「ところでエレン」
「は、はい!」
「君はカイのことが好きなのかい?」
優しげな眼差しから一転。こちらを見たハンジは巨人を見た時の興奮を纏っていた。
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