第263幕
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「待て待て!お前なんでこいつらに向かって刀向けてんの!?」
『邪魔だと言ったはずだが?』
「うおっ!?」
左手で取り出したのは一丁の拳銃。その銃口は銀時の足元に向けられて一発放たれる。威嚇で撃ったのか当たることは無かったが、少しでも銃口がズレていたらそれは確実に銀時の足を貫いていた。
「さっきのはまさかお前が……?」
銀時を襲ってきたチンピラのリーダーは頭を撃ち抜かれて死んだ。今この場で飛び道具を持っているのは神楽と海だけ。逃げていく彼らに対して神楽は傘の銃を向けてはいない。
『だからなんだ?』
特に問題は無いと海は銃を太もものホルダーへと戻す。
おかしい。何かもがおかしい。そもそも海は銃なんて使っていなかったはずだ。それになんの理由もなくチンピラを射殺するなんて狂っている。
「お前本当に……海なのか?」
あまりにも違う。声も見た目も海なのに中身だけがガラリと変わっている。誰かに操られているのかと思えてしまうほど。
「海……こんなことしても意味無いわよ。こんなことしても……」
悲しげに俯く神楽を見た海は徐々に殺気を緩めていく。刀を持っている手からも力が抜けていき、ただ添えているだけ。
「どれだけ争ったってあの人は来ない。海さんがどれだけ暴れても……銀さんは来ない」
新八は緊張した面持ちで海を宥めようと言葉を続ける。
「きっと……もう……」
『分からないだろ』
刀を鞘に戻して海は銀時らに背を向ける。背を向ける間際にちらりと見られたが相変わらずその目は銀時のことを睨んでいた。
『時間が無いことはお前が一番分かってるんじゃないのか?新八』
「それは……」
『最期に会わせたいと思うなら探すしかないだろう』
「でもッ」
『……わけない』
「えっ?」
『あいつが……俺を置いて死ぬわけない』
そう言って海は銀時たちの前から姿を消した。
残された新八と神楽はぐっと唇を噛み締めて俯く。
「(一体どうなってんだよ。新八も神楽もこんなだし……海も別人みたいじゃねぇか)」
五年。経った五年で全て変わってしまった。
この時代で自分は死んでいて万事屋は分裂している。唯一期待していた海は神楽と新八に牙を向けて。
何もかもがめちゃくちゃになったこの世界をどうしろというんだ。
頭の中を整理しようとしても上手くいかない。どれだけ考えを巡らせても先程の海の瞳が気になって集中出来なかった。
「(あんなの攘夷戦争のときでも見たことねぇよ)」
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