第276幕
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誰かがいる。銀時たちや自分の部隊の人間じゃない。でも、天人でもなさそうだ。
気配を消すことも無く近づいてくる奴らに神経を尖らせる。相手は二人組。しかも悠長に会話までしているではないか。
戦地が近いこんな場所で散歩とは考え無しすぎる。
『誰であろうと殺せばいいだけか』
きっと幕府側の手下か何かだろう。自分たちの拠点がバレて偵察に来ているのかもしれない。
今襲われたら一溜りもない。なんせ昨晩、見知らぬ男が仲間に酒を振舞ったのだから。そのせいで部隊の大半の奴らは二日酔いで動けなくなっている。
敵とも味方とも判別できない者からの酒なんて飲めたもんじゃない。そう言ったのに銀時たちは喜んで受け入れてしまった。
『大体、自分たちは飲んでて俺には飲むなっておかしいだろ』
誰かが口にする前にひっそりと毒味をしようとしたところを銀時に見つかってこっぴどく怒られた。以前うっかり飲んでしまった時も翌日になぜか怒られたのを思い出す。酒を飲んだ時の海はめんどくさくなるからやめろ。それが理由だったらしいが、意味はよく分かっていない。
そんなこんなで自分は今一人で敵地に赴こうとしていたところ。ここ数日、船をよく見かけるようになった。いつも相手をしている天人と同じようだが、どことなく纏っている雰囲気が違う。
見た目とは違い派手な攻撃はしてこない。ただ黙って船からこちらを見下ろしてくる姿は異様だ。
先に船の偵察に行くか、それともこっちに近づいてきている奴らを潰すか。
『考えるまでもないか』
先に拠点へと近づいてきている奴らを相手しなくては。動けるのは自分だけだから。
刀に手をかけていつでも抜けるように構える。相手も海が気づいたことを察したらしく、その場に立ち止まる。
フードを被った男が子供の背を押す。押された子供は海に向けて刀を引き抜いた。
『子供に戦わせるなんて情けないやつだな』
抜いたのなら仕方ない。子供といえども容赦はしない。
静かに刀を抜いて駆け出す。早くこいつらを片付けてなければ。
『悪いがここで死んでもらう』
迷うことなく海は子供の首へと刃を向けた。
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