第275幕
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「でもよ、銀さん。確かに未来は変わったぜ」
「あ!?」
「そんなにイライラするなよ。禿げちまうぞ?」
「今禿げそうなんだけど!?ストレスで毛根死滅しそうなんですけど!?」
こちらへと向かってくる天人の軍勢を前にして冷静にしていられる長谷川に銀時は吠える。
「何言ってんだよ。未来を救ったんだからいいだろうが」
「未来を……救った?」
「ああ。だからここに俺がいるんだろ」
「そう。だから僕らはここにいる。アンタが取り戻してくれた平和な未来を」
意味がわからず固まっていると、後ろから新八の声が聞こえて振り返る。
「ぶっ壊すために」
「ぶっ壊すために」
ここにいるはずの無い二人が立っている。それも未来の姿で。
「銀さんが自分の命を賭して僕らに未来を繋いでくれた。だったら僕らは」
「その未来で銀ちゃんを取り戻すね」
「て、てめえら、そんなまねが出来ると思ってんのか、俺達だけで……」
この人数でこれだけの天人を魘魅の軍を相手にするのは無理がある。それこそ、ここで全員死ぬ恐れだってあるのだ。未来の新八たちだとはいえ、彼らが死ぬ姿なんて見たくは無い。
「できるさ」
「お前はもう一人ではないのだからな」
近藤、そして桂の声。黒煙舞う中で万事屋の文字が書かれた旗がはためく。
「呪われた過去だろうと未来だろうと。ここには万事屋がいるんだから」
現れたのは真選組、そして桂の一派に月詠の部隊。そして猿飛と柳生家の諸々が立っていた。
「て……てめーら……」
「約束しましたよね。あなたの思い、その魂は私がきっと届けるって」
「たま、お前……お前が!?」
たまが小脇に抱えているのは時間泥棒の頭。まさかたまが時間泥棒だったとは。
たまが取り出したトランシーバーからは源外からの通信。後ろから邪魔するようにお登勢が顔を出し、さっさとケリをつけて来いと背中を押される。
「やってくれたな……。てめえらバカどものせいで明日も昨日も前も後ろも、もう見えなくなっちまったよ。だが、てめえらのおかげで一つだけ見えたよ。俺の……このバカの帰るべき場所が」
「何言ってるアルか。銀ちゃんが帰る場所はとっくに見えてたはずヨ」
「そうですよ。銀さんが帰るべき場所は決まってるじゃないですか」
「それはお前らが繋いでくれたから見えたんだろうが」
「違うネ。私ら……見えなくなってたアル。でも、思い出させてくれたヨ」
「あの人は僕たちを銀さんのところに帰してくれたんです。だから、今度は僕たちが帰りましょう?」
「お前ら何を言って……」
「海が繋いでくれたアル」
「海が……?」
「はい。海さんが思い出させてくれたんです」
一度記憶を失った。でも、海に思い出させてもらったと二人は言う。
「私のデータは海様には必要なかったようです。あの人は銀時様のことを覚えていらっしゃいました。あなたの存在が未来から消えても、海様は銀時様のことをずっと」
「なに……それ」
忘れて欲しかった。そうすれば海は楽になれると。自分がいない世界で幸せになって欲しいと願ったのに。
「なんだよそれ……なんであのバカは忘れないんだよ」
「忘れるわけないですよ。だって海さんは銀さんのこと大好きですから」
「こっちが恥ずかしくなるほど銀ちゃんラブアル。忘れるわけないネ」
「愛の力ってか?いつからそんなキャラになったよ」
「前からヨ」
「前からです」
二人の言葉にがっくりと肩を落とす。子供らはこんなにも気づいていたのに自分は気づきもしなかった。
海にこんなにも愛されていたなんて。
「それで?当の本人はどこにいんだよ」
「一緒に来たんですけど、どこかではぐれちゃったみたいで……」
「はあ!?なに!?アイツ迷子になってんの!?」
周りを見ても海の姿はない。これだけぞろぞろいるのであれば、はぐれるはずもないのに。
「あ、あ、あんの方向音痴がァァァァァァ!!!」
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