第275幕
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「大丈夫ですか?大丈夫ですか!?ちょっとしっかりしてください!」
身体を揺さぶられて新八と神楽は目を覚ました。
新八たちを起こしたのは見知らぬ男。その人は目を覚ました新八たちにホッとした表情を浮かべた。
「君たちこんなところで何してるんだ?」
「え……」
「え、じゃないよ。ここは立ち入り禁止区域だよ」
辺りを見渡せばそこは知らない場所だった。両側にベルトコンベアがあり、いくつもの荷物が流されている。
「ターミナル……?」
「なんでこんなところで私たち寝てたアルか?」
暫く考えてから思い出したこと。それは銀時が未来をかける為に過去へと行ってしまったという記憶。
起こしてくれた男への謝罪もそこそこに新八と神楽は荷物保管所から飛び出た。
「こ、これは……」
ターミナルの中は朽ちてなどおらず、白詛が蔓延する前の姿だ。道行く人はみな元気そうに歩いている。
「ま、まさか銀ちゃんが過去を改変したから?」
白詛によって閑散としていた町はそこにはない。
人で溢れ活気づいている景色。望んでいた風景なのに新八と神楽は戸惑いしか生まれない。
「じゃあ銀さんは……銀さんは一体……」
銀時が過去に行って変えた。それならば未来の銀時がどこかにいるはずだ。これから探そうとしたとき、二人の横を見知った顔が通り過ぎる。
「土方さん!」
「んあ?」
「土方さん、銀さんは?銀さんを見かけませんでしたか?」
「はあ?銀さん?誰だそりゃ?つーかお前ら誰だ?なんで俺を知ってる?」
銀時の存在が消えている。
絶望している新八たちに土方は訝しげな表情を浮かべる。連れていた隊士らが新八たちに声をかけようとしてきたが、その場を逃げるように走り去った。
「新八!銀ちゃんは……銀ちゃんはなにしたアルか!?」
「分からない……分からないよ!」
必死にかぶき町を走る。きっとあの場所は残っているはずだから。あそこに行けば全てが分かる。
例えみんなの記憶の中から消えていても、万事屋はきっとあるはずだと。
「そんな……どうして」
「嘘だよ……なんで……!」
たどり着いたその場所は万事屋ではなく、別の店舗になっていた。
「僕らはこんな未来望んじゃいない!」
「やだよぉぉぉぉぉぉ!!」
どれだけ泣き叫んでも銀時には届かない。
「あれ……なんで僕……」
どうしてこんなところで泣いているんだろうか。こんな場所に膝をついて泣いているなんて。
わけのわからない状況に困惑していると、横から嫌な音が聞こえた。錆び付いた鉄を無理矢理動かしているような音。そちらへと顔を向けると、真選組の隊服に身を包んだ男と頭がカメラになっているロボットが立っていた。
『随分と情けないツラしてんなお前ら』
「誰ですか……?」
『だってよ。どうすんだ?』
「大丈夫です。私の中に残ったデータで復元できます」
『人間に復元って言葉は合わないんじゃないか?たま』
「そうですか?ではなんと言えばいいのでしょう」
『そうだな……帰ってきてもらう。がしっくり来るんじゃないか?』
男は新八たちを見て優しく微笑む。彼が誰なのか分からないのに何故か懐かしさを感じた。
「貴方は……一体誰なんですか?」
『しがないただの警察だよ』
そう言って彼は新八たちの頭を撫でた。
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