第275幕
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「そうか……十五年前のあの時から俺はこの世界に存在しちゃならねぇもんだったってわけか」
未来の自分も海も死んだ。その原因は自分の中に巣食っているウイルスのせい。
海を助けるために行ったはずなのに、逆に死に追いやる存在になってしまった。
「俺はどこに行けばいい?」
「全ての始まり。攘夷戦争の時代……。ただ、私に残されたエネルギーでは片道切符となり……」
「ふっ……どうせもう戻る必要なんてねぇんだろ」
過去を変えたところで自分が残っていては意味が無い。過去の自分を消したあと、銀時は自死を選ぶしかないのだ。ウイルスが本格的に動き出す前に。
「銀時様が海様を救い出し、魘魅を倒した直後。ナノマシンが神経に根を張る前に倒すしか、この世界を救う方法はありません」
「俺の身体でやつをとらえ、俺ごと消すしかねぇってことか」
捕らわれていた海はウイルスが効かなかった。だから海まで手にかけなくていい。それだけは救いだ。
「ただしそれ以降全ての時代から坂田銀時という存在は消えて無くなることに……」
大丈夫。あの時代から自分が消えるのであれば。あの頃であれば、自分はまだ海に想いを伝えていない。まだ幼なじみの関係だ。
例え消えたとしても海は……。
「少しくらいは悲しんでくれたら……いや、あいつは悲しむかな。優しいやつだから」
それならいっそうのこと海も。そう思ったが馬鹿らしくてやめた。海の未来まで潰してはいけない。あの子には幸せになって欲しい。隣に自分がいなくても。
「別の誰かが隣にいるなんてちょっとムカつくけど。まあ幸せになってくれんならいいか」
出来れば忘れないで欲しい。そう思ってしまうのはわがままだろうか。
後ろで泣きじゃくっている新八と神楽にも忘れないでいてほしい。出来ることなら彼らの記憶の片隅にでも坂田銀時という存在が居たということが残っていたならば。
「それだけで俺は十分だ」
時間泥棒に目配せをして銀時は過去へと飛ぶ。
「新八、神楽。あいつのこと頼んだ」
眩い光の中を進む。新八と神楽が呼んでいる声が聞こえたが無視して。
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