第274幕
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『勝手なことしてんじゃねぇよ』
背後でカシャンと何かが落ちる音がしたと同時に海の声が聞こえた。
振り返ると、口から血を吐きながらこちらへと歩いてきている。
『守るために姿を消しただと?ふざけるな。人がどれだけ探し回ったと思ってんだ』
もう目が見えていないのか足取りが覚束無い。身体を支えようと腕を掴んだが、その手は振り払われてしまった。
『どれだけ……どれだけお前のことを』
「海……」
『一発殴るぐらいじゃ気が済まない』
座り込んでいる未来の銀時の前に立った海は右手を握りしめる。殴りつけようと振り上げるも、その手はずっと銀時の頭上で止まったまま。
『あいつらを……新八と神楽をどれだけ悲しませたか……分かってるだろ!』
「……悪かった」
『悪かったの一言で済ませられると思ってんのか!お前が居なくなっただけでどれだけの奴らが心配したと思ってやがる!お前が、銀時が居ないだけで……!』
怒りに染まっていた声は段々と涙声へと変わり、地面にポタリと雫が落ちる。振り上げられていた手はゆっくりと力なくだらりと下がった。
『あいつらを泣き止ませるのに苦労したんだからな』
「手間を、かけた」
『他に言う事あるだろうが。俺に謝って意味が無い。新八と神楽に……他の奴らにも』
「分かってる。アイツらには随分と面倒をかけた。その報いはちゃんと受けるさ」
未来の銀時から目線を送られ、銀時は渋い顔でそれを受け止める。
『……ふざけんな』
「海」
『なんでいつもそうやって一人で……』
「俺が元凶なのは知ってただろ」
『そんなの知らない。知らない!』
「下手くそ。何年経っても相変わらずだな」
駄々をこねる子供のように知らないと繰り返す海に優しく微笑みかける。
「海、こっちおいで」
泣きじゃくる海に手を伸ばして身体を引き寄せるが、海は手足をばたつかせて嫌がった。
「(……これ以上は無粋だな)」
この場に居てはいけない。後は二人きりにさせた方がいいだろう。そう思って銀時は背を向けて歩き出す。
「絶対に死なせねぇから」
必ず未来を変えると心に決めて。
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