第274幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ようやく会えたな。お互い随分回り道しちまった」
扉の先には魘魅らしき人影。近くに海の姿は見えない。どうやら銀時が先に魘魅にたどり着けたようだ。
「たかが十五年前の忘れ物一つを取り戻すために。だがそれもこいつでシメーだ。一度見失っちまったが今度こそは返してもらうぜ、未来を。たとえてめぇらの未来を踏みにじってもな!」
ここで魘魅は倒さなくては。でないと海が騒ぎを聞きつけてここに来てしまう。
待ち構えている魘魅へと木刀を叩きつける。相手もそう簡単にやられる気はないらしく、錫杖を片手に応戦してきた。
「(こいつ……俺の動きを……)」
魘魅と戦うのは初めてではないにしろ、相手は銀時の動きを熟知している。流派に囚われた戦い方では無い、めちゃくちゃな動きに対して魘魅は動きを合わせてくるのだ。
まるで分身と戦っているような気分になる。
「くっ……てめぇ一体何もんだ!」
銀時の問いかけに魘魅は一切応えない。ただ、目の位置にある機械の発光だけがギラついていた。
「だんまりか。だったらきっちりゲロしてもらうぜ。洗いざらい何もかもな!」
相手の隙をついて頭を木刀で殴りつける。被っていた笠が落ちたが、顔を見るまでには至らない。
どれだけ攻めても銀時の動きを見破ってくるので段々と防戦一方へとなってきてしまう。少しずつ怪我も増え、口の中に血が溜まっていく。
「(これじゃ海が──)」
来てしまう。心配で焦りが生まれ、手元が狂ってしまった。魘魅を貫こうとした木刀は錫杖によって防がれて腹を蹴り飛ばされる。コンクリの上をゴロゴロと転がっていった先、背中に何かがぶつかった。
『随分とやられてるみたいだな』
「あ……」
『情けないと思わないのか?』
倒れている銀時に海はため息をつく。そして庇うように魘魅の前へと立ち塞がった。
「ま、待て!海……っう……」
『休んでろ』
転がっていた木刀を広いあげて地面へと突き刺す。
そして自分の刀を抜いて海は魘魅へと走り出した。
.