第263幕
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グルグルと銀時の周りを走るバイクはけたたましい音を奏でる。乗っている男らは奇抜なファッションだ。自分なら恥ずかしくてそんな格好したくない。
「おいおい、兄ちゃん。道の真ん中で何やってんの?おかげで俺の自慢の馬のボディに傷がついちまったよ。修理費としてあり金全部置いてってくれるー?」
「(モブすら別のアニメに豹変してんだけど!北斗の銀みたいになっちゃってんだけど!?)」
モヒカン頭の男に恐喝紛いなことを言われ、銀時は咄嗟に正座をする。ここは穏便に済ませた方がいい。世界の終わりより今は自分自身の終わりを回避しなくては。
「あのすいませんでした。勘弁してください。俺今混乱しててそれどころじゃ──」
「ん?おいアニキ。こいつマスクしてねぇぜ」
「正気かよ。江戸をマスクなしでうろつくなんざ小倉さんが台風に飛び込むようなもんだぞ」
「ひょっとしてこいつ白詛知らねぇのか?」
「ハクソ?コロ○じゃなくて?最近はマスクしてない人も多くなってるけど。テレビでもコ○ナの話題出さなくなったし」
「○ロナじゃねぇ!白詛だ!」
みんなマスクしてると思ったらそういう事だったのか。確かにあの病原菌は大流行してたからその時の不安で未だにマスクが外せない人もいる。それ以外の理由で外せなくなってしまったという人たちもいるのも知っている。彼らは後者に当たるはずだ。病原菌を恐れているのであれば密な空間は作らない。マスクを付けてはいるけど互いの距離はとても近い。
「密です……」
「だからコロ○じゃねぇよ!!」
「マジかよ、こいつ白詛も広まってねぇど田舎からのおのぼりさんらしーぜ。おい、ついでに身ぐるみも全部置いてきな。マスクがねぇなら裸も同じだろ」
冗談で言っているのかと思ったのだが、相手は大マジらしく銀時のものを剥ぎ取ろうと近づいてくる。渡せる手荷物なんてものは何一つない。穏便に済ませたいと考えていたのに。
「(仕方ねぇか……)」
木刀へと手をかけて引き抜こうと力を込めると、後ろから誰かが来ている気配がした。
「やめておけ。こんな星に物見遊山に来るとは。よほど度胸があるのか、よほどのうつけ者か知らんが死にたくなければ……帰れ。田舎者だろうがゴロツキだろうが。これ以上この街を汚すことは俺が許さん。もっとも白詛がマスク程度で防げるなどという迷信に踊らされてるようではどちらが田舎者かしれたもんじゃないがな」
後ろから現れたのは笠を被った男。そいつは丈の長い羽織りを着ていた。
「(海……じゃない)」
男を見たとき一瞬海かと思った。隊服を脱いで行動する時にいつも彼は丈の長いロングコートを着ていたから。
「何だとてめえ」
「ナメた口きいてんじゃねぇぞ」
煽られたチンピラ共は銀時から男へと矛先が変わる。
「早く行け。ここは俺が引き受ける」
「(あ……あれは……)」
銀時の横を通り過ぎた時に見えたもの。男の腰にあったのは刀と木刀。それは銀時が持っているものと酷似していた。
「(あの木刀は……)」
男はたった一閃で周りにいたチンピラたちを吹き飛ばす。それだけでかなりのやり手だと誰もが察した。
「なんだコイツ……バカ強ぇ!」
「おいあれ……あの木刀……あのメガネは……」
「(まさか……まさかー!!)」
「ギャーギャーギャーギャーやかましいんだよ。発情期か貴様ら」
「よっ……万事屋だ!万事屋新八っさんだ!」
男の正体は銀時がよく知る少年。ツッコミとメガネしか取り柄のなかった彼がこの時代では万事屋として名を轟かせている。しかもチンピラたちの様子を見るに新八はかなり恐れられているように見えた。
「あ、あれが最近巷のゴロツキを狩りまくってるっつう何でも屋か!?」
「(え……ちょ……ええー?よ……万事屋新八っさんって……誰?いやいやいや、知らねぇ。あんなキャラ知らねぇ!あんな青学の柱知らねぇよ俺は)」
次々とチンピラどもを片付けていく新八。あんなに強い新八は知らない。五年もあれば人は成長するが、あんなに様変わりするとは。
「というか……あの戦い方……」
まるで海のような乱暴さだ。
一心不乱に木刀を振り回す姿はどこか海に似ている気がする。まだ木刀を使っているだけ、相手の首を狙っていないだけで違和感はあるけれど、敵陣に突っ込んで手当り次第ぶちのめしていくそれは海のやり方だ。
「確か弟子だったんだっけか?」
海に剣を教えてもらっているのは知っている。でも、海は新八に多くは教えてなかったはずだ。
「何が……あったんだよ」
呆然とする銀時の前で繰り広げられる大乱闘。そしてその乱闘にもう一人乱入してきた。
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