第273幕
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それから町中を探し回ったが、有力な情報も無ければ魘魅の姿を見つけることも出来なかった。
いつの間にか空は暗くなっていて、これ以上の捜索は危険だと判断した銀時たちは一旦万事屋に戻ることにし、他の者たちから受けた報告を整理する。
「といってもろくなもんはねぇな。たまに屋根の上に変な人影があるってことくらいか」
『その人影がどこから来てるのかさえ分かれば楽なんだがな』
「いつの間にか居て、あっという間に姿を消すんじゃ探しようもねぇよ」
これでは探しようがない。新八たちも必死に魘魅についての情報を探してくれたみたいだが、手掛かりといえるものは全くなかった。
「そもそも本当に魘魅がいるのかも怪しいじゃねぇか。俺は確かにあの時倒したはずなんだよ。残ってたやつらも全員片付けたはずなのに……なんで今更」
『さっきも言っただろ。根絶やしにしたと思ってたのはお前だけで、生き残りがいたのかもしれない。攘夷戦争時代に痛手を食らったそいつらは虎視眈々とこの時期を待っていたんだろ。やり返せる日を』
「やられたら倍返しだって?古いんだよ。どれだけ前のネタだと思ってんだよ。名前も忘れてたくらいだわ」
仇討ちだというなら分からなくもない。海の言う通り、相手はずっとこのタイミングを待っていたのだろう。人類を滅ぼす日を毎日夢見て。
「それよりお前体調は大丈夫なの?」
『今のところはそんなに酷くは無い』
「本当に?片目見えてねぇんだから不安だろ」
『そんなには』
口でも大丈夫だと言い張っているが、明らかに無理をしている。銀時に心配をかけないようにしているのが見え見えだ。
「海、ここ」
『は?ああ……ありがとう』
おにぎりを取ろうとした手は何も取れずに空を彷徨う。その手を掴んでおにぎりを乗せてあげると、海は気まずそうに礼を言った。
「今は新八も神楽も居ないんだから気張らなくてもいいんじゃねぇの?」
『いつ来るか分からないだろ。それにこの状態に慣れておかないと』
「そりゃそうかもしれないけど。別にゆっくりでもいいんじゃね?焦らなくてもよ」
なんでも自分でやろうとする海にもどかしさが募る。少しくらい頼ってくれてもいいのに。
『それより、明日はどうするんだ』
「うん?明日?」
『ここら辺一体は聞き込みを終えてる。翌日になったからとはいえ大して変わらないだろ。捜索範囲を広げた方がいい』
「あー、確かにそうだな。でも、魘魅は江戸を中心にして動いてんだろ?」
『だろうな。感染源は……江戸だ』
言いづらそうに呟く海にハッとする。
「海、お前もしかして……」
『俺が発症したのは江戸を離れてからだ。最初の人間じゃない』
海の言葉にホッと胸を撫で下ろす。一番最初の発症者だったら海が感染源となってしまう。そんなことが他の人間に知られようものなら恨まれるのは確実だ。
「じゃあ誰が一番最初の発症者なんだよ」
『……さあな』
目を逸らす海に違和感を感じつつ、銀時は明日の計画を練る。
考えたところで良い案は浮かぶことは無く、結局明日のことは明日考えることにして今日は寝ることにした。
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