第272幕
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『白詛に対して……免疫がある。と言った方がわかりやすいか』
「免疫って……病原菌じゃなくてナノマシンなんだろ?免疫も何も無いんじゃ」
『俺が白詛にかかったのは五年前。銀が居なくなったって騒ぎになってからすぐだった』
白詛にかかったら半月ともたない。それなのに海はかかってから五年経過している。見た目に症状は出ているものの、お妙と違って海は立って歩けるほど体力があった。
白詛に対して抗体を持っていると言われてもなんら不思議では無い。でも、それが病原菌であればの話だ。ナノマシンに対して抗体があるというのは有り得るのか。
『完全に白詛を抑え込んでいるわけではないが、他の人間に比べたらまだマシな方だろうな。今出てる症状と言ったら、髪の色素が落ちたことと吐血、体力の低下……それと』
「それと?」
前を向いていた顔が銀時の方へと向けられる。なんだ?と首を傾げようとしたとき、海の目に違和感を感じた。
『左目がよく見えてない』
「お前目が濁って……」
『朝起きたときは霞んでいるくらいだったが、段々と悪くなってきている。これはもう見えなくなるだろうな』
右目は綺麗な黒目のままだが、左目は白く濁っている。本人はなんら気にしていないと言うように軽い口調で話しているけど、銀時からしたらたまったもんじゃない。
「俺から離れるな。そんな状態で襲われたりしたら危ないだろ」
『逆じゃないか?誰かが近くにいたら間違えて一緒に斬り殺しそうだ』
「一人の方が危ねぇよ。片目見えてないなんて怖すぎるだろ」
長年見えていないとかであれば、感覚的なもので対処出来るだろう。でも、昨日今日で見えなくなったのであればそう簡単にはいかない。いくら相手の気配を読むのが上手い海でも、目が見えないとなれば大問題だ。
なんせ彼の戦い方は視覚頼りなのだから。
「絶対に離れるな。左側は俺が何とかするから」
『俺の左目の代わりになるって?』
「なんだよ。ご不満か?」
『いや……これは頼りがいがあるなって』
「へ?」
『なんでもない』
「なに?デレた?今のデレなの?ちょっと海くん!」
スタスタと先を歩く海の後を追いかける。
頼りないと言われると思っていたのだが、予想と違った。それがただ嬉しくて、しつこく海に聞きまくったら容赦ない蹴りが背中へと打ち込まれた。
「酷くない?それは」
『しつこい』
「だって海が急にデレるから」
『ふざけたこと言ってないで早く行くぞ』
「ふざけてないふざけてない。俺にとっては超重要。これからのモチベーションになるからね」
『何がモチベーションだ。いつもやる気なんかない癖に』
「あるよ。海のためならいくらでも!」
『寝言は寝て言え』
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