第272幕
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『時間泥棒?』
「そ。そいつのせいで未来に飛ばされてきたんだよ。俺をこっちに呼び寄せたのは……こっちの世界の俺らしいんだけどね」
『銀が?何のために』
「未来を変えるために?」
厭魅の情報を集めるべく、銀時は海を連れて町を歩いていた。その間に銀時が五年後に飛ばされてきたことを説明し、過去に戻るためには時間泥棒を直すこと、そして白詛を蔓延させたであろう厭魅を見つけることを告げる。
『だから源外を探してたのか』
「そういうこと。処刑されるって聞いた時はどうしようかと思ったわ。あのジジイが死んだら過去に戻れなくなっちまうからな」
『悪知恵の働くじーさんで良かったな』
「ほんとに。で?俺の話は済んだけど、海の方は?」
『俺?』
「そう。幕府に追われてたり、白詛になってたりしてるじゃん。なんでそうなってんの?説明してくれない?」
自分のことは全部説明した。次は海が自分のことを話す番だろう。
足を止めて海は暫し考え込む。その姿をじっと見つめていたら、観念したように口を開いた。
『五年前、銀時が屯所に来た話は覚えてるな?』
「うん。海のこと心配して探してたってやつだろ?」
『あの時、土方に銀時が来てたことは聞いたけどすぐに万事屋に行かなかった……いや、行けなかった』
「行けなかった?」
『ああ。上に俺のことがバレたからな』
「バレたって何が……」
『元攘夷志士だってことが』
「え゙」
確か海は城に呼び出されていて屯所に居なかったと言っていた。城に呼ばれるのはいつもの事なので気にしていなかったが、まさかそんな理由で呼び出されていたとは。将軍のお巫山戯に付き合っていたならまだしも、素性がバレて呼ばれたなんて洒落にならない。
「よく捕まらなかったじゃねぇか」
『そのタイミングで近藤さんが捕まった。真選組はお取り潰しとなって、隊士たちが暴動を起こしたんだ。その騒ぎに乗じて身を隠すように松平さんに言われた』
近藤が捕まったのは自業自得な気がするが、それでも隊士たちは自分たちの長を助けようと動いたらしい。そちらの方が派手に動いてくれたから、海は幕府の目を掻い潜ることが出来たと。
『江戸から離れた方が良いって話が出たところで、新八と神楽が泣きついてきてな。銀時が行方不明になったって。だから探して欲しいってよ』
「探して欲しいって言われたって……お前、その状態じゃ江戸になんか居られねぇだろ」
『普通はな。周りにも江戸を出た方が良いって言われたんだが、数ヶ月ほど江戸に残ってた』
「なんで?そんなことしたら捕まるのも時間の問題じゃねぇか」
『隊士たちが暴れすぎたんだよ。あのまま放っておいたらアイツらの首が飛ぶところだった。だから、銀時の件は土方に任せて、俺は幕府の目を真選組から"閃光"に向けさせた』
「向けさせたって……」
『そのまんまの意味。隊士たちよりも俺が暴れてればそっちに手が行くだろ』
「暴れてればってお前何したの」
『幕府の人間を少し……減らした』
苦い顔で海は言いづらそうに呟く。その時のことを思い出しなくなさそうに顔を背けて。
「そのせいで幕府に追われてんの?」
『いや、あいつらの理由はそれ以外にもある。というか、そっちの理由の方だろうな』
「お前は一体何してんのよ」
呆れた顔でため息をつくと、海はむっと拗ねた表情。いつも無茶をするやつだが、ここまでの無茶をするのは初めてだ。
「理由って?なによ」
『俺が白詛にかかったから』
被っているフードを掴んで重苦しい声色で海は話し始めた。
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