第272幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おい、海。なんであいつあんなボロボロになってんだ?」
「新八さんも神楽ちゃんもなんか変だけど……何かあったの?」
『知らねぇ』
「知らねぇことはねぇだろう。昨日一緒にいたんじゃねぇのか」
『知らねえって言ってるだろ』
先に外に出ていた海は土方と朔夜に何があったんだと問い詰められていた。
万事屋から出てきた三人が既にボロボロになっているのが気になるのだろう。あの状態にしたのは海本人だが、その過程を話す気にはなれない。
「海、お前大丈夫なのか?」
『……そろそろだろうな』
「そう……か」
『お前がなってるわけじゃないんだからそんな顔するなよ』
苦しげに顔を歪ませる土方に苦笑を浮かべる。
白詛にかかってからというもの土方はこうして海の事を気遣ってくれていた。朔夜と総悟にバレていないのは土方のおかげだ。
「髪染め落ちてるんじゃねぇか?」
『多分な。鏡見てないから分かんねぇけど……あいつにバレたから落ちてきてるんだと思う』
「アイツ?」
首を傾げる土方に海は万事屋の方を見ることで問いに答える。
「まさかバレたのか?」
『フードを引っ張られた。それ以外にもあるだろうけど』
珍宝と一緒にいるようになってから白詛の進行が早くなっている。これまで吐血なんてしたことなかったのに、たった数日の間で何度も血を吐いた。
そろそろ限界が近い。いつ死んでもおかしくないと思っていたけど、こうして死を間近に感じてくるとそれなりに恐怖心も湧いてくるというもの。
『(まだ……死ぬにはな)』
動きの悪くなった利き手。以前に比べたら刀を振るう速度も落ちている。完全にこの手が動かなくなってしまう前に見つけださなくては。
『銀……』
「ほら、行くぞ」
『あ?』
見ていた右手に珍宝の左手が乗る。ガシッと力強く握られて引っ張られた。
「探しに行くんだろ?早く見つけて……それどうにかしようぜ。まだ間に合うかもしんねぇから」
たまに、珍宝の姿が銀時と被るときがある。義兄弟といえども、こんなにも性格が似るのだろうか。
「心配すんな。きっと大丈夫だから」
『銀……時、』
「うん?なに?」
こちらを振り返った顔は珍宝ではなく銀時。見慣れたあの優しげな笑みに目頭が熱くなった。
「海?どうした?」
『なんで……今まで気づかなかったんだ……』
「何に?」
『お前……どうして……いや、そもそも本当に銀時なのか?』
「あっ、気づいた?でも、この時代の俺じゃないよ」
『どういう意味だそれ』
「詳しい話は後でね。まだ新八たちは気づいてねぇから」
しーっと口元に指を立てていたずらっ子のようににんまりと笑う。
『ちゃんと説明しろよ?』
「うん」
厭魅を探すべく集まった者達が四方へと散らばる。海も銀時と共にその場を離れた。
.