第272幕
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「……なにしてるアルか」
「ほんとですよ。珍宝さん何してるんですか」
「……なにって……ナニ?」
「銀ちゃんのものに手をだしてんじゃねーヨ」
「銀さんのに手を出さないでください」
窓から朝日が差し込んできた頃、カラカラと玄関の戸が開けられる音がして目が覚めた。
腕の中ではまだ海はスヤスヤと眠っている。起こすのは可哀想だと思って、掛け布団をかけ直していたところに新八と神楽が部屋に入ってきた。
二人は無言でじっと銀時の顔を見た後に布団の膨らみを見て、上記の言葉を発した。
「最低ですよ。まさか、あなた万事屋を乗っ取るつもりなんですか?」
「そんなことするわけねぇだろうが!ちょっと海と寝てただけで」
「どうせ寝てた以上のことしてるアル。傷心中の海に手を出すなんてクズヨ」
「だから出してねぇって言ってんだろうが!」
二人から辛辣な目を向けられて、グサリと胸に何かが突き刺さる。助けを求めようと布団の中にいる海を覗いて見たが、気持ちよさそうに眠っている彼を叩き起してしまうのは良心が痛む。
「はぁ……そんなことより、どうするんですか?」
「ため息つきたいのはこっちなんだけど。なに?どうするって」
「姉上との約束、忘れたわけじゃないですよね?」
「さっさと仕事行くアルヨ」
「ったく……記憶力だけは立派だな」
捨て去ったはずのツッコミもアルも、ガラリと変わってしまった服装も全て五年前のように元通りになっている。その光景に懐かしさを感じてしまうほどに。
「海くん」
声をかければ、布団の中でもぞりと動き出す。寝ていたことで外れてしまっていたフードを戻して、海はむくりと起き上がった。
『朝から騒がしい。もう少し静かに出来ないのかよ』
「新八が一人で騒いでただけネ」
「神楽ちゃんだって騒いでたじゃないか!僕のせいにしないでくれる!?」
「海がこいつにナニされてたって言ったに興奮してた癖に」
「してねーよ!!誰が誰に興奮してんだよ!!!」
ギャーギャー喚き散らす二人はまだ気づいていない。寝起きで機嫌の悪い海がゆらりと立ち上がったことに。
「大体、神楽ちゃんが──」
「何か文句でもあんのかこのメガネ──」
『うるせえって言ってんのが分かんねぇのかこのクソガキ共!』
ガシッと頭を掴まれた二人はそのまま床へと叩きつけられる。板に顔面が埋め込まれた神楽と新八はピクッピクッと身体を痙攣させて気絶した。
「やりすぎじゃねぇ?」
『こいつらはこれくらいが丁度いい』
「あっそ。てか、よく眠れたか?」
『一応は。今日は動くんだろ。寝ないと動けなくなる』
「まあね。てか、お前寝相悪くなった?」
『は?』
「だって、布団分けてただろ?なのにいつの間にか俺の布団の中に潜り込んでるじゃん」
昨日は二人分布団を敷いた。一緒に同じ布団で寝ないか?と誘ったら蹴りが飛んできたからだ。それなのに海は銀時の方の布団へと入ってきていた。
『……は』
「俺としては大歓迎だったんだけどね?寒かったから丁度いい湯たんぽみたいな感じで。君の方も枕欲しかったみたいだし?」
『……ば……』
「ば?」
『くたばれ!!!』
「ぐふっうううう!?」
顔を真っ赤にさせて突然怒鳴ったかと思えば、海は思い切り足を振り上げて銀時の頭へとかかと落としを食らわせた。
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