第271幕
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「それで?あいつは一人にして大丈夫なのかい?」
「え?なんで?」
「なんでって、アンタ知ってるんじゃないのかい。黒猫が白詛にかかってること」
「な、なんでそれを!?」
海を上に残して銀時はお登勢のスナックへと訪れた。そこで源外から自分を未来に飛ばした犯人知ることとなった。
源外が時間泥棒を連れていくのを眺めていた銀時にお登勢が声をかける。
「なんだか変な感じがしたからねぇ。子供らを寄せ付けなくなったと思ったら、街から出て行って行方知れずになるし。まるで何かから逃げてるようじゃないか。幕府から追われるようになったのは知ってたが、それよりも前にアイツは江戸から出ていったのさ」
「追われてる理由って知ってるのか?」
「さあね。アンタと同じでアイツも何も言いやしないよ。出ていく間際、久しぶりに顔を出したかと思えば、"子供らを頼む"ってだけ残して去ってったよ」
「あのバカ……」
江戸を出たのは銀時を探すため。そして、神楽と新八に白詛を感染させない為に出ていったのだ。子供らを第一に考えている海ならばやりかねない。海の近くにいるのは神楽と新八だけではないから。
「気をつけてやりな。今まで一人でやってきたんだろう。そろそろアイツもガタがくるよ」
「言われなくてもわかってらぁ」
「それならいいけど。見た目はそんなでも中身はアンタだからね。黒猫も気づくころじゃないかい?」
「どうだか。あのおバカさんは変なところでニブチンだから。言わなきゃ気づかないんじゃねぇの?」
「そういう割には随分と懐かれてるじゃないか」
「え?」
お登勢はくいっと顎をしゃくる。その先にある玄関の方へと顔を向けると、外に誰かが立っているのが見えた。
「……マジ?」
「じーさんが出てってからずっとそこに居るよ」
「迎えに来てもいいって言ったけど、マジで来たの!?」
遅かったら迎えに、と言ったは言った。来ることは無いと思っていたのに。
なんだかここ数日の間に何度も良い意味で裏切られている気がする。
コップに残ってた酒をグイッと飲み干して外へと出ると、店を背にして海は腕を組んで立っていた。
「海?」
『……遅い』
「わ、悪い……ちょっと話し込んじゃって」
むっとした表情で呟いた海に慌てて、ごめんと返す。
上を出てからそれほど時間は経っていなかったはずだ。とはいえ、一人で暗い部屋に待たされるのは寂しかったのだろう。
「もう話終わったから上戻れるよ」
『それなら……いいけど』
ホッとした顔で俯く海があまりにも可愛らしくて。思わずガシッと抱き締めた。ビクッと跳ねる身体を撫でまわしていると、店の中から呆れた声が聞こえてくる。
「人の店の前で何やってんだい。そういうのは帰ってからにしておくれ」
「誰も来ねぇんだからいいだろうが少しくらい!」
「見てるこっちの身になれって言ってるんだよ」
「見てんじゃねぇよくそババア!海が減るだろうが!」
『減らねぇよ』
うるさい、と海に蹴飛ばされてゴロゴロと地面を転がる。このやり取りも久方ぶりで、痛いはずなのについ笑みが零れた。
『蹴られて笑ってるのは頭イカれてるんじゃないか?』
「大丈夫です。俺の頭はいたって正常です。照れ隠しで人を蹴飛ばす海の方がイカれてると思うよ俺は」
『そうか。まだ正常か。ならもう一度蹴っても大丈夫そうだな』
「二回目は待って!!しかも本気で蹴ろうとしてんだろ!」
『騒ぐな。鬱陶しい』
「騒がせてんのは誰のせい!?」
一人で万事屋への階段を上がっていく海の後を追いかける。玄関先で立ち止まっていた海の元へとたどり着いた銀時は戸を開けた。
「おかえり、海」
『お前……』
「ほら。早く入んねぇと閉めちまうぞ」
驚いて目を見開く海に笑いかけて先に中へと入る。
「これで気づいてくれるかは微妙だな」
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