第270幕
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『体調はどうなんだ?』
「今日はそんなに辛くないよ。でも、もう目が見えなくなってきてるの。海くんのかっこいい顔見れなくて残念だわ」
『そうか。冗談を言えるくらいなら大丈夫だな』
海のゲンコツで撃沈した五人は床に倒れ伏し、今話せているのは三人だけ。
部屋に用意されている椅子に銀時が座り、ベッドの端に海が腰を下ろす。
「海くんは?最近どう?ちゃんとご飯食べてる?」
『食べないとコイツがうるさいから』
「そうね。銀さん心配症だから」
「しょうがねえだろう。言わなきゃ食わねぇし。そりゃうるさくもなるっての」
「恋人じゃなくてまるで親子ね。ダメよ海くん。銀さん困らせちゃ」
『困らせてるつもりはない。このアホが人のことを気にしすぎてるだけだ』
海の冷たい返しにも関わらず、お妙は楽しそうに笑う。それを見ている海も少しだけだが表情が緩んでいた。
「これからはずっとこっちに居るの?」
『……いる。いるよ。じゃないと新八たちがうるさいから』
「そう。海くんが居てくれるなら安心だわ。この子達すぐ無茶なことをするから。銀さんと一緒に見張ってて」
『わかった。善処はする』
良かった、と微笑むお妙に海は苦虫を噛み潰したような顔。目が見えていないのをいい事に海は本音を表情に出している。
「安心したら少し眠くなってきちゃった……」
『こいつらが騒いだら疲れたんだろ。今日はもう休んだ方がいい』
「うん。そうするわ。せっかく来てくれたのに……ごめんね」
『謝るのはこっちの方だ。大人数で押し掛けて悪い』
「ううん。楽しかったからいいの」
『そうか。それなら……良しとするか』
ふわっと欠伸を一つしてお妙はゆっくりとベッドに横たわる。それと同時に海は床で寝転がっている月詠たちを廊下へと放り投げた。
「いつからそんな手荒な真似するようになったんだ?」
『こいつらに優しさなんていらないだろ。少し蹴ったくらいじゃビクともしないから心配するな』
「そりゃそうだけども。でも、海いつも言ってるんでしょ?女子供にはどうのこうのって」
『人による』
「確かに」
病室の中が綺麗になったのを確認し、お妙の方へと向き直る。
『じゃあまたな』
「海くん」
『なんだ?』
「少しだけ……いいかな」
なんだ?と首を傾げていると、海は外に出てろと目配せをしてくる。
『すぐ行くから外で待ってろ』
「おーう」
言われた通り病室を出て扉をゆっくりと閉める。その時、完全に戸を閉めずに少しだけ開けておいた。
「なんとなくだから。なんとなく気になるだけだから」
誰に言うでもなく言い訳をし、そっと気配を消す。海であれば、すぐに気づいてしまうかもしれないけれど。
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