第270幕
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『何やってんだお前は』
「わ、忘れてた!俺の姿アレなの忘れてた!」
『何言ってるんだ。お前の姿は変わらずそのままだ』
猿飛たちに蹴り付けられて銀時は床に蹲る。後から入ってきた人は乗ってる海が、冷めた目で自分のことを見下ろしているのを見て何か扉が開きそうになったのを感じつつ、助けを求めるように手を伸ばした。
「ちょっと助けてくんない?」
『なんで俺が』
「お前……海か?」
面倒くさそうに銀時に手を差し出した海に月詠が目を丸くして声をかける。月詠の言葉に九兵衛も驚いていた。
『お前らは相変わらずだな』
「いつこっちに戻ってきたんじゃ!」
『最近。元上司が処刑されるって話が出たから戻ってきた』
「桜樹も相変わらずだな。その……今も……探しているのか?」
『見つかっただろ』
「え?」
『ここにいる。これだけ探し回らせたんだ。こいつには説教が必要だな』
寝そべっていた銀時を立たせ、海は部屋の外にいた神楽と新八を中へと入れる。
「あんた何言ってんのよ!こんなやつのどこが──」
『うるさいからお前は黙ってろ』
喚き散らす猿飛を引き下がらせ、いつの間にか入口にいた近藤の元へと突き飛ばす。
『連れてきてやったんだから感謝してほしいもんだな』
「ふふ……やっぱり海くんは凄いわ」
『約束は守るって言ったはずだ』
「そうね。海くんはいつも守ってくれるものね」
嬉しそうに微笑むお妙に海は素っ気ない態度で返す。
「ありがとう、海くん」
『……礼を言われるほどのことはしていない』
「海!どこに行くつもりじゃ」
病室を出ていこうとした海の手を月詠が掴んで引き止める。
『便所くらい一人で行ったっていいだろ』
「えっ……あ、すまぬ」
月詠の手をやんわりと離して海は病室を出ていった。その後に残る沈黙はなんとも言えないほど重苦しい。
「お前たちは知ってたのか。あいつが江戸に戻ってきていたことを」
「私達も少し前に知ったのよ。ゴリラが処刑されるから戻ってくるだろうとは思ってたけど」
「なら何故わっちらにそれを伝えなかったんじゃ」
「貴女たちに伝える必要があるんですか?」
「なんだと?新八、お前も随分と生意気になったものじゃな!」
「おいおい!なんで喧嘩腰なんだよ」
月詠と新八の言い合いがヒートアップする前に銀時は割って入る。
「お前ら落ち着けって。ここ病室なんだからよ」
「そもそもこいつはなんなんだ。下手な銀時のコスプレをしよって。目障りにも程があるじゃろう!」
「知るか。そいつのことは僕達もよく知らないんだ」
「君たちはそんな人間をここに連れてきたのか」
海が居なくなった途端、今度は銀時の事で揉め始める。病人が近くにいるのだから喧嘩をするなと言いたいところだが、自分の素性を考えると安易に声をかけられない。先程、仲裁に入っただけでこの言われようなのだ。次やったら黙ってろと一蹴されそうだ。
「どうすんのよこれ」
月詠と新八の口喧嘩に九兵衛が入り、神楽が言い返したことで猿飛までもが口を開いた。その中で戸惑っているお妙が可哀想でならない。
「無理無理。これは俺じゃ止められないわ」
『情けないな』
「海!?」
いつの間にか便所から戻ってきていた海が、呆れた顔で銀時のことを見ていた。
「見てるなら助けてくれよ。これじゃ見舞いどころじゃねぇだろ」
お手上げだと両手を上げて降参のポーズを取ると、海はため息をつきながら新八たちの方へと歩を進める。
そして、騒いでいたやつの頭へと拳を振り下ろした。
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