第269幕
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「待てよ。やつらは……やつらは確かにあの時に……」
海は無事だった。今だって何事もなく生きている。でも、地球は厭魅のナノマシンによって滅ぼされかけていた。
海を助けに行った時に厭魅は確かに倒したはず。
「もし生き残りがいたとしたら?」
「何か確証でもあるのかよ」
「わからん……。だが、銀時は恐らく何か見たに違いない。ゆえに白詛拡大前にいち早く気づき動いていた。ガラにもなく俺に昔話をしに来た時に気づくべきだった。業を背負うべきはお前だけではなかろう銀時……」
悔しげに唇を噛み締める桂に銀時は何も言えず、ただ見ていることしか出来なかった。
自分は何かを知っている。白詛について、厭魅について何かを。
「海、銀さんがいなくなる前に何か──」
行方不明になる前に。最後に会った時に自分に何か違和感は無かったかと聞こうと振り返った先。海は一点を強く睨みつけていた。
「海?」
『ここから動くな』
「海てめぇどこにいくつもりだ!」
『ねずみがいる。今日はもう解散しろ』
一言残して海は雨の中へと飛び出して行った。
土方もその後を追いかけようとしたが、海の姿を見つけることが出来ず舌打ちを漏らす。
「あのバカ野郎!てめぇだってもうそんなに動けるわけじゃねぇんだぞ!」
「おい、それどういう意味だ」
「どういう意味も何も……クソッ!」
苛立った土方は持っていた煙草をへし折る。
「今のどういう意味だって言ってんだよ」
「お前には関係ないだろう」
「関係あるんだよ。言え。"動けるわけがない"ってどういうことだ!」
嫌な感じがしてたまらない。自分の予想が外れて欲しいと思いながら土方の胸ぐらを掴んで揺さぶった。
「言え!」
「ッ……アイツは……」
渋る土方が唇を震わせながら何かを言おうとした刹那、雷鳴が轟いて土方の声をかき消した。
「今なんて……」
もう一度聞こうとした銀時の視界に人の形が映る。その方向へと目を向けると、近くの民家の屋根に二人の人間が佇んでいた。
「海……?」
一人は海だと判別出来る。こんな雨の中で一体何をしているんだと不審に思ったあとにもう一人の方が雷に照らされて姿が見えた。
「(あれは……!)」
その姿には覚えがある。
「おい、どうした!?」
弾かれるように銀時は駆け出す。水溜まりに足を取られながら走って、銀時は海がいる屋根の上へと登った。
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