第267幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「なにこの人集りは」
太陽が上りきってから銀時たちは外へと出た。先を歩く海の後を追っていくと橋の上に人集りが見える。その中に新八と神楽が居るのが見え、銀時は二人に声を掛けた。
「なにやってんの?」
「遅かったな。海さんと一緒に来たんじゃなかったのか」
「一緒に来たけど……って、あれ?」
隣にいると思っていた海の姿はどこにも無い。辺りをキョロキョロと探してみたけれど、野次馬の中に紛れている感じでもなかった。
「どこ行ったんだ?」
「あっちはあっちでやることがあるんでしょ。今日はゴリラの処刑日だから」
そういえば廃屋を出る時にそんなことを言っていた気がする。近藤を助けるために土方たちと合流すると。源外の行方も海について行けばわかると言われただけで、居場所については全く教えてはくれなかった。
「まさかここに源外のじーさんが来てるっつうのかよ。人が多すぎてわかんねぇよ」
公開処刑を見ようと街の人間たちがわらわらと集まってきている。その中から源外を探すのは難しい。特徴的な外見をしているならまだしも、背が小さくて普通の見た目をしている源外は人並みに紛れ込んでしまう。
「違う、そっちじゃない。あっち」
神楽に声をかけられて指さしている方を見る。
役人に連れられて出てきたのは手を縛られた源外。
「あれが将軍の首を取ろうとクーデター起こしたっていうマッドサイエンティスト」
「天下の大罪人、平賀源外か」
民衆が口々に源外の話をする中、銀時は冷めた目で源外を眺める。ついてくればわかると言っていた海の言葉の意味を漸く理解出来た。源外も近藤と同じように役人に捕まっていたのだ。
「これは?」
「源外のじーさんは五年前に逮捕されて今日が処刑執行の日よ」
「ええー!処刑!?ゴリラだけならまだしも、あのクソジジイも!?」
「あのじーさんずっと指名手配されてたのよ。海が裏で手を回して捕まらないようにしてたみたいだけど、真選組が崩壊してからは海の保護が出来なくなったの。そんな中、銀ちゃんが居なくなって、じーさんは飲んだくれることが多くなった。酔っ払ってカーネルサンダース人形を大量殺戮兵器カーネルサンダーライガーに改造しているとことっ捕まって」
「なにやってんのあのじーさん!ちょっと待てよ!あのジジイが死んだらタイムマシンはどうなんだ!」
「タイムマシン?」
「い……いや、こっちの話……。おい、何とか助けらんねぇのか!」
「俺たちが何も手を打ってないとでも?何とかしようと色々掛け合ってみたが、当の本人が面会に行ってもだんまり。あれじゃ助けようもない」
刻々と源外の処刑が進められていくのを見てダラダラと冷や汗が垂れる。もういっその事、銀時自ら邪魔に入ってしまおうかと思ったが、この後に近藤の処刑が行われるのであれば下手な真似は出来ない。
海たちが近藤を救おうと計画しているのを知っている以上、今騒ぎを起こすのはやぶさかだ。だが、ここで黙って源外の処刑を見守ることも出来ない。彼が死んだら時間泥棒の修理が出来なくなってしまうのだから。
「そうだ……ヅラは?こんだけ幕府が弱ってんだ、あの無能でも今なら役に立……つ?」
護送車の中から出てきた人物を見て銀時は二度目の虚無に襲われる。源外の横に座らされたのは紛れもない桂だった。何故か高杉のように片目を包帯で隠している状態だが。
「これは?」
「見た通りよ」
「ええー!!何やってんのあいつ。さっきと全く同じ絵ヅラだよ!」
「ヅラは攘夷志士の中でも穏健派で通ってたんだけど、銀ちゃんが居なくなって海も行方不明になった後にすっかり荒れちゃって。過激攘夷党に鞍替えしたのよ。確か世界をぶっ壊すとか中二前回なこと言い出して、カーネルサンダーライガーをカーネルサンダー晋助に改造してるとことっ捕まって」
「なんでカーネルばっかメッタうち!?どんだけ小さい世界壊してんの!あいつなら何か知ってるかとも思ったのに!何やってんのバカなの?死ぬの?」
咄嗟に桂に声を掛けて自分の存在に気づかせようとしたが、桂はたった一言。
"ヅラじゃない、桂だ"
.