第266幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「それで?貴方は兄さんとどういう関係なんですか」
「どういう関係かと言われましても……昨日会ったばっかりなんで」
「そんなわけないでしょう。正直に言わなければそのふざけた顔を斬り落としますよ」
「いや、本当にそうなんだって。昨日会ったばかりだよ。うん」
朔夜に連れられてきたのは一軒の廃屋。見た目はボロくて今にも潰れそうな危なっかしい建物だったのだが、中は綺麗に片付けられていて綺麗だった。
倒れた海を抱えてこの家に逃げ込んできたまでは良かった。そこから朔夜に質問責めを受けている。
「何者なんですか」
「何者って……ただの人間だけど」
「そういうことを聞いてるんじゃありません。新八さんたちに坂田さんの義兄弟だと嘯いたそうですね。あの人たちがそんなデタラメに騙されるとは思いません。貴方一体何者なんですか。なんで兄さんや新八さんたちに近づいたんですか!」
新八たちを騙せたかと一安心していた所だったのにまさか朔夜にここまで追求されるとは思わなかった。
腕を組んで仁王立ちしている朔夜の前で正座している自分がどれだけ情けなく見えるか。
「黙ってないで答えてください」
「答えろと言われても今君が言ったことが真実なんだけど。義兄弟以外に言い表せないんだよね」
「坂田さんに義兄弟なんているわけない。あんなちゃらんぽらんな人間を兄だなんて呼ぶ人居ないですよ」
ぐさりと胸に何かが突き刺さる。確かに自分でもこんな人間を敬い慕う人間なんて居ないと思ってるけど、こうして他人から言葉にされると傷つくものだ。
「い、いるかもしれないじゃん?強くてカッコイイーって。兄貴分になってーって」
「無いです。そんな人がいたら眼科と脳神経外科を薦めます」
「随分と酷い言い方するね君!?」
「酷くないですよ。それくらい坂田さんはどうしようもない人なんですから」
こんなにバカにされるほど朔夜との間は悪かっただろうか。新八や神楽に言われるならまだしも、朔夜との接点はそれ程無かったはずだ。
「銀さんについて凄く詳しいみたいだけど……」
「そりゃそうですよ。敵についてよく調べなければ倒せないじゃないですか」
「敵!?なんで!?」
「あの人は僕にとって敵です。坂田さんを倒さなければ兄さんは……」
「もしかして……君、桜樹さんのこと……」
「僕のことはいいんです。それより早く江戸から出ていってください」
「それは無理なお願いだな。俺にもやる事があるんだから」
「だったら一人でやってください。兄さんや新八さんたちを巻き込まずに」
「そう言われてもねぇ……」
そろりと海の方へと目を向ける。
部屋にあったベッドに寝かせているのだが、海は銀時の着物を掴んだまま離さないでいた。しっかりと握りこんでいるのか少し引っ張ったくらいでは取れそうにない。
「ムカつく……」
「え?」
「あの人はもう死んだって。もうこの世に居ないんだって聞いたのに。それなのにまだ兄さんは坂田さんのことが忘れられないんだ」
忌々しそうに呟く。恨みの言葉を吐いた朔夜はキッと銀時をひと睨みしてから部屋を出ていった。
「海の周りにいるヤツら歪みすぎてね?大丈夫なの?」
.