第262幕
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「で?お前はここで何してるわけ?」
『……何も』
「何もじゃねぇよな?ふらっとどこかに行ったと思ったら全然帰ってこねぇし。お前が率いてた部隊がボロボロで戻ってきたかと思えば、お前が変なやつに捕まったとかって言うし。何してんの?そうやって一人でフラフラしてるからそんな事になるんだろうが」
『文句は後にしてくれ。先にコレ』
銀時に背を向けて縛られている手を差し出す。早く縄を解いて欲しいと訴えると、銀時はイラッとした顔で刀を振り上げた。
「助けに来てやったのにお礼もないわけ?」
『助けに来て欲しいなんて誰も言ってない』
「なんなのお前!人がこんな傷だらけになってまで来てやったっていうのに!」
『誰も頼んでないだろ。お前が勝手に来てだけじゃねぇか』
「ムカつきすぎてもうダルいんだけど。ああそうかよ。余計なことしましたね」
スパッと縄が切られて両手が自由になる。何度も逃げ出そうともがいたせいで手首にしっかりと縄の跡が残ってしまっていた。
『桂たちは?』
「知らね。下のどっかにいるんじゃねぇの」
『あっそ』
奪われていた刀を取り戻し、銀時に倒された奴を見下げる。
海を人質にすることで白夜叉や他の攘夷志士を誘き出して潰そうと考えていたようだが、それは甘い考えだ。
『俺を餌にしたくらいじゃコイツは倒せねぇよ』
「おい、何してんだよ。行くぞ」
暫くそいつを眺めてから銀時の方へと走り寄る。
「まったく。無駄な働きしちまったじゃねぇか」
『それは悪かったな』
「悪いと思ってるなら謝るとかないの?また迷子になったのかと思って散々探し回ったんですけど?」
『人のことバカにしてんのか?迷子になってたわけじゃない。こいつらの事を偵察してたら周りに誰もいなくなってただけだわ』
「集中すると周りが見えなくなるのやめてくれない?部隊の奴らはお前を止められないんだから」
『仕方ないだろ。コイツらを野放しにしてたら厄介なことになってた』
他の天人たちと違ってこいつらはよく分からない動きをしていた。呪符のようなもので身体を覆って訳の分からない攻撃を仕掛けてくる。武器を持って突撃してくるようなやつらなら何も問題はないが、こうやって裏でコソコソとしている奴らは早々に潰した方がいい。
「へーへー。そうですか。流石は偵察部隊」
ふと、目に入ったそれ。先程の奴から受けた傷なのか、銀時の腕からダラダラと血が流れていた。
『銀、』
「あ?なに……」
腕に付けていた鉢巻を外して銀時の腕へと巻き付ける。白かった布はすぐに真っ赤に染まっていく。自分一人で片付けようと思ったのにまた銀時に助けられてしまった。
『……ありがとう』
「言うのが遅い。どれだけ心配したと思ってんだよ」
『ごめん』
「一人でいなくなるな。何かあったのなら俺に言え。俺の……いや、部隊の奴から離れるな」
『分かった』
素直に頷くと銀時はホッと息を吐いて海の手を掴んだ。
「戻るぞ」
『うん』
銀時に手を引かれながら敵艦を降りていく。下へと戻る間際に振り返ったとき、赤く光るものが目に入った。それがとてつもなく不気味に見え、銀時の手を強く握った。
「どうした?」
『いや……なんでもない』
アレはもう生きてはいない。さっき確認したのだから間違いないはずだ。
それなのに何故か不気味に見える。
『(魘魅……)』
捕らわれていた間、奴は海に何かを施そうとしていた。だが、それは上手くいかなかったらしく、海に対しての実験のようなものは打ち切られた。
何をされていたのかは定かでは無い。後々になって何か問題が出た時は自分で対処すればいい。
『銀』
「なに?」
『……呪いって信じるか?』
「なにそれ。美味いの?」
『いや、なんでもない』
「聞いといてそれかよ」
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