第262幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
──ちょっと映画デートにでも行かねぇ?
そう言われて銀時たちと共に海は寂れた映画館へと来ていた。
恥ずかしそうに誘ってきた銀時から渡されたのは一枚の映画のチケット。随分と古臭そうなそれは銀時に似合わない恋愛ものの映画だった。
『で?お前のことだから期待してなかったけど、今日は一体なんの依頼を受けたんだ?』
「えっとですね……」
「映画館の見廻りですよ。報酬として映画のチケットもらったんです」
「海と見たいからこれにするって銀ちゃんが選んだアル」
約束の時間に映画館に来たものの、チケットの上映時間はまだ先。それまで何をしてるんだと聞けば、銀時は申し訳なさそうに本当の事を吐いた。
寂れた映画館だけに変なやつらの出入りが多い。ここを管理している人も年老いた女性だけ。そんな人が不審者を追い出せる訳もなく、困った末に銀時たちを頼ったとのこと。
海の手元にあるチケットはその依頼報酬。銀時たちの仕事が終わった頃に上映されるもの。
『はぁ……その見廻りを手伝えと?』
「いやいやいや、手伝えとは言ってないよ?ただ、今日休みだって聞いたから。それなら一緒にふらふらっと?」
『お前は片手間に仕事をしてるのか?』
ふざけているのであれば帰る。そう言って劇場を出ようとした海の肩を銀時がガシッと掴んだ。
「ちゃんと仕事はするって!俺らは見廻りすっけどお前はのんびりと映画でも観てろよ」
『銀時たちが仕事してんのに観てられるかよ』
「いいって。そのために呼んだんだから」
頑なに帰らせたくないと言い張る銀時に思わずため息が漏れる。
『だったら早く終わらせろよ』
「うん。ちゃちゃっとやってくるからここで待ってて」
「銀さん……僕ら時間帯決められてるんですけど」
「夕方までは仕事するように言われるネ」
「うるせー!要は変なやつらが入ってこないようにすればいいんだろ?それなら入口で待機してればいいだろうが!不審な奴は全員追い払う!これ完璧じゃね!?まずはお前!!」
劇場でビデオカメラを回していた……というより頭がビデオカメラになっている人物の頭をわし掴んで劇場の外へと引きずり出す。
「まったく……あの人は本当にどうしようもないんだから。すみません海さん」
『気にしてないから大丈夫』
「海、ここの映画館ボロいけど色々観れるみたいアル。私らの仕事終わるまで映画観て待っててヨ」
『そうする。見廻りといえども気を抜かないようにな。酒飲んで入ってきてるやつらも居るようだし』
「うん!」
「はい!」
子供らを見送ってから映画のスケジュール表へと目を向ける。公開されているものは殆どはいかがわしいものばかりで、キャッチコピーも読んでいると恥ずかしくなってくるものばかり。その中で唯一観れそうなのはホラー映画。
『ここホラー映画もやってるのか』
それは気になっていた作品の一つ。見に行こうと思っていたが、仕事が忙しくて中々見に来れなかったものだ。
『まさかな。そこまで気を遣える奴じゃ……』
この映画を気になっていたなんて話は銀時にはしていない。だからきっと偶然だったのだろう。そんなことは頭では分かっているのだが、なんとなく銀時が察してくれたのではないかと思ってしまう。
『暇を潰すのにいいか』
窓口へと行ってホラー映画のチケットを一枚買う。一応、新八にこの映画を見てくると声をかけてからスクリーンの方へと入った。
『楽しみだな、異界島』
ワクワクした気持ちでスクリーンを眺める。
そして映画が始まってから数分後、海は新八と神楽に呼び出されてしまい映画を全て見ることは出来なくなってしまった。
「銀さんが……銀さんがどこにもいないんです!」
忽然と銀時が映画館から消えた。そう叫んだ新八と神楽は青ざめた顔をして海の腕を引っ張った。
劇場版完結編、始動。
1/4ページ