第254幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「俺はあの時、海を見捨てなくて良かったと思ってる。アイツは確かに暴れん坊かもしんねぇが、人情深いやつでもある。あいつこそ真選組に相応しい人間だろうな」
町の人たちからの信頼がなければ警察はやっていけない。性格の荒い人間が集まっている真選組の中で唯一まともと言えるのが海だ。上司のやらかしも部下の失態も海がフォローしている。そのおかげか、真選組は町民たちから嫌われずに済んでいた。
むしろ海がいるから好意的に見られているかもしれない。
「なぁ、万事屋」
不意に近藤は真面目な顔で銀時の方へと身体を向ける。
「海はお前と同じ攘夷志士だったのか?」
その問いに答えられるはずもない。向けられている視線から逃げるように銀時は酒を口にした。
「さあな。それは本人に聞いた方がいいんじゃないか?」
「聞いたところであいつは喋らないだろう。俺は海が何をしていたって仲間だと思ってるんだが」
近藤の言葉に嘘は無い。真っ直ぐとした目で銀時に訴えてきている。それでも海のことを言うつもりは無い。自分が話すべきではないと思っているから。
「万事屋、一つ頼みがあるんだがいいか?」
「報酬でるんだろうな?」
「いや、今回は出せそうにないな」
「あ?」
おちょこを盆に置いて近藤は立ち上がる。近藤の視線の先には白い服を着た連中が立っていた。
「海を頼んでもいいか。あいつは何かと無理をするし、これからは守ってやれなさそうなんだ」
「お、おい!」
あの連中は確か見廻組と言われている組織。徳川喜々の勢力の者。
「トシたちに伝えてくれ。バカなマネはするなと。江戸にはまだお前たちが必要なんだとな。確かに繋げたぜ。最後に三人で飲めて楽しかった。もっと早くに飲んどきゃ良かったな」
見廻組に囲まれながら近藤は銀時を振り返って笑う。その背中へと手を伸ばそうとした時、すぐ近くで何かが落ちる音がした。
「お前……なんでここに……」
『それは……どういうことだ』
地面に警察手帳を落として固まる海。驚きの表情で近藤を見たのち、近藤の手首に手錠を掛けた女を射殺さんばかりの目で睨んだ。
.