第253幕
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皆が固まる中、茂茂は一人前へと進み出た。
「将軍様……?」
「フッ……茂茂公を保護せよ」
『将軍!』
茂茂の元へと駆け寄っていく奴らに向けて刀を抜こうとしたが、茂茂は海に向けて待てと留める。
「下がれ。無礼である。下がれと申している。私を誰だと心得ている。征夷大将軍、徳川茂茂であるぞ!」
「茂茂公、貴殿はもう──」
「聞こえなかったか。将軍は私だと言ったんだ。将軍に命を下せる者などいない。私の前から下がれ」
凛とした出で立ちで茂茂は駆け寄ってきた奴らに声を掛ける。困惑する天導衆には目もくれず、茂茂は己がするべきことを、国と友のために将軍であり続けると語った。
「私は将軍、徳川茂茂。この国を……友たちが生きるこの国を護る者だ!」
「フッハハハッ……そのためにはここにいる友たちの死にも耐えると?よかろう茂茂!望み通りにしてやる!」
喜々の狂った笑いを呆れながら聞いていると、短く携帯が震えた。
こんな雰囲気で携帯を取り出すのは気が進まないが、こっそりと携帯の画面を開いた。
そこには一通のメール。
『……そうか』
「海さん?」
『まだ、俺たちにも希望があるってよ』
携帯の画面を新八へと見せると、目を見開いて驚く。
『将軍殿の味方はまだ居るってことだ』
"今からみんなで行くから待っててくだせぇ"
たった一言。でも、その言葉には強い力が宿っている。
将軍は一人じゃない。彼にはまだ心強い味方がいる。
『新八、ここ頼む』
「えっ、どこに行くんですか!?」
『迎えが必要みたいだから行ってくる』
洞窟から漂ってくる血の匂い。少しずつ強くなってきているということは誰かがこちらへと来ているということだ。
『まったく、いつまでやり合ってたんだか』
将軍たちに背を向けて洞窟の方へと向かうと、神楽が銀時を支えてこっちに来ていた。
「あっ……海……!」
『うん。よくここまで担いでこれたな』
神楽だって至る所から血を出しているのに。壮絶な兄妹喧嘩をして来たあとだというのにここまで一人で銀時を支えて連れてきてくれた。
『ありがとな、神楽』
「わた……し、」
ふらりと傾いた身体を抱きとめる。泣きそうになっていた彼女の背中を撫でながら、銀時の方へと手を伸ばした。
『ちょっとやりすぎなんじゃねぇの?』
「……悪い」
『俺の寿命縮める気か?』
「心配……してくれたんだ?」
『別に』
「はっ……可愛い……ツンデレで」
満身創痍な状態でも冗談を言ってのける銀時に笑みを浮かべる。
『怪我、しすぎなんだよばか』
片腕で神楽を支え、もう片方の腕で銀時を抱きしめる。背中には二人の腕が回りしっかりと海の身体を抱きしめた。
『おかえり』
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