第252幕

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女装、辰馬が呼ぶとき




「大丈夫そうだな」


『ほんとうに?』


「なんか人生相談してるみたいだし」


『人生相談?ってなに?』


どうやら神社にいる子供らは銀時たちを探している悪ガキたちではないらしい。だからといって彼らがいる間に下に降りることも出来ず、と銀時はそのまま子供たちの動向を見守った。


『ね、ねぇ、あの人たち……』


ぞろぞろと神社の前に現れたのは見知らぬ男たち。彼らは皆、木刀を手にして悪どい笑みを浮かべていた。


「高杉、うちの弟が世話になったらしいな」


「下級武士の小せがれの分際で身の程を弁えろ!」


彼らが怒鳴る度に恐れで身体が震える。が責められているわけでもないのにだ。


、耳塞いでろ」


『うんっ』


両手で耳を塞いで外の音を遮断する。の背中にある銀時の手は安心させるように何度もの背を撫でた。


だが、いくら手で耳を押さえたとて彼らが叫んでしまえば嫌でも聞こえてしまう。


『ぎん、ぎん!』


「大丈夫だから。心配すんな」


優しい声色だが、どことなく怒りを感じる声で銀時は呟く。そして持っていた刀を鞘から抜いて彼らの元へと投げた。


「ギャーギャーギャーギャーやかましいんだよ。発情期かてめーら。稽古なら寺子屋でやんな。学校のサボり方も習ってねーのかゆとりども」


「誰だ貴様ら!?」


、ここで大人しくしてろよ?いいな?」


『えっ、銀?銀時!?』


鞘を預かっててと言われて銀時から手を離した瞬間、ふらっと下へ飛び降りてしまった。銀時はそのまま下にいた男の顔を踏むように着地し、面倒くさげな顔で彼らを一瞥する。


「寝ろ。侍がハンパやってんな。俺が付き合ってやるよ。みんなで一緒に寝ようぜ」


「誰が寝るかぁ!」


「許さんぞ貴様!」


キレた男たちは銀時に向かって木刀を振りあげようとする。危ないと声をかけようとしたところで、彼らはバタバタと倒れていった。


「銀時、よくぞ言いました。そう、侍たる者ハンパはいけない。多勢で少数をいじめるなどもってのほか。ですが銀時……」

「うう……」


「君たちハンパ者がサボりを覚えるなんて100年早い!」


男たちと同じようにゲンコツを食らった銀時はズボッと地面へと埋まる。その姿を見てはガタガタと震え出した。


『あ……ああ……先生……!』


ゆっくりとこちらを見上げた松陽はいつもの優しい笑み。


、銀時に付き合ってサボりなんて覚えてはいけませんよ」


『ご、ごめんなさいいい』


「自分で降りられますか?」


泣きながら勢いよく頭を横に振ると、松陽は笑いながら木の下へと来てくれた。


「もうそこへは登ってはダメですよ?」


両手を広げて待ち構えている松陽の元へと飛び降りて何度も頷いた。落とさないようにしっかりと抱きとめてくれた松陽は泣きじゃくるの背中を何度も優しく撫でる。


「君たちも早く学校へお帰んなさい。小さなお侍さん」


松陽に抱えられながら神社にいた子供たちを見た。口をぽかんと開けて驚いた顔で彼らもこっちを見ている。


『先生、銀時大丈夫?』


「暫くしたら起きますよ。それより、もう銀時に付き合ってはいけませんからね?」


『うん。もうしない。木の上怖かったもん』


一人であそこに残された時はこの世の終わりかと思った。松陽が来なかったらこのまま木の上で死んでしまうのではないかと思ったくらいだ。


もう二度と木には登らない。そう誓いながら引きずられている銀時を見下ろした。



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