第251幕
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『ひっどい怪我してんな』
「そりゃあれだけの奴さんを相手にしてりゃあなぁ」
全身血だらけの服部に手を貸しながら海たちは抜け道を進む。明かりが一切見えない暗闇。出口からの光が見えないこの道は思ったよりも距離があるのだなと呑気に考えていた。
『人を他所に飛ばしておいてそれか』
「お前さんは気づきそうだったからな」
『気づかねぇよ。影武者の顔なんか一々見てねぇし』
「はっ、それでどうやって将軍守るってんだ」
『将軍の格好してるやつ全員護ればいいだけだろ。別に難しいことは無い』
どれが本物でどれが偽物かと探っている間に将軍は殺される。松平が用意した影武者は無駄に多いから。だったら全員護り通せばいいだけの事。本物だろうと偽物だろうと関係ない。人を護っていることには変わらないのだから。
「そりゃご立派な考えで。流石江戸の警察様だな」
『年がら年中町民護ってるから。それくらい朝飯前だ』
「そうかい……」
血を流しすぎたせいか服部の意識は途切れ途切れになっている。完全に落ちることのないようにと話をし続けているのだが、それも限界が近い。
『服部。こんなところでくたばるのはやめてくれ。いつ後ろから夜兎が来るか分からない』
「おいおい……こんだけボロボロなのにまだ戦えって言うのか?すました顔して言うことが鬼畜だねぇ」
『使えるもんは使う。そうだろ?』
「そりゃ違いねぇ」
はははっと笑った服部は海の肩から腕を引き、自力で立ち上がる。
「全く……べっぴんさんはどいつもこいつもわがままで疲れんだよ」
『俺はそこに含まれないから疲れないだろ。てか、お前それこの間も言ってなかったか?』
「俺はブス専なんだ。べっぴんさんには興味はねぇ。それとあんたは自分が思っている以上にべっぴんだぜ?」
『まさか』
そんなはずはない。と否定した瞬間、それまで黙っていた将軍が口を開いた。
「全蔵の言う通りだ。桜樹、そなたは誰よりも美しい」
「海さん、銀さんに怒られますよ?」
『なんで俺が怒られるんだよ』
「だって……将軍様、海さんに気があるじゃないですか」
『気?なんの』
「いやだから……」
「やめとけやめとけ。こいつは分かっちゃいねぇよ。こんだけ将軍が主張してるっつーのに分かってねぇんだから。鈍すぎんのにもほどがあるだろう」
『お前らはさっきからなんの話してんだよ』
新八と服部で将軍を慰める図。暗闇の中だから彼らがどんな顔をしてるのかは分からないが、声からして海のことをバカにしているのは確かだ。
『後で覚えとけよお前ら』
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