第251幕
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「海」
『止めたってやるんだろ?どうせ』
目の前の惨状を見ていれば海だって我慢は出来ない。
地面に血まみれで倒れている猿飛を必死に守ろうとしている服部。彼もここに来るまでの間にかなりの傷を負っている。それでも仲間を守ろうと命懸けだ。
そんなら彼らを嘲笑うかのように高杉は神威と共に刀を振るう。
それを黙ってなんて見ていられるはずが無い。
『これは数発ぐらいでは済まないな』
駆け出していく銀時と神楽を横目に将軍へと手を差し出す。新八にも手を貸そうと思ったが、怒りで我を忘れて飛び出していってしまった。
「彼らは……!」
『大丈夫。まだ死んでない……が、あのままだと危ない』
特に猿飛の方は早く治療をしなければ。腹を一突きされているのだ。もしかしたら将来の傷となってしまうかもしれない。
『と言ってもこの状態じゃ病院に行くなんて出来ねぇし』
将軍を支えながら崖を滑り降りる。やっと地面に足が着いたと思ったら、将軍は猿飛と服部の元へと走っていった。
『仲間思いの将軍で』
「久しぶりじゃねぇか、海」
将軍の背を見送ったあと、横から声をかけられる。そちらへと目を向けると、銀時と対峙していた晋助がこちらを見て笑っていた。
「お前は相変わらずだな」
『どういう意味の相変わらずかは知らないが……それは晋助にも言えることだろ』
「ふっ……海、いつまでこいつのそばに居るつもりだ?お前にはもっとお似合いの場所があるだろう」
『お似合いの場所なんて必要ねぇよ。自分で決めて立ってる場所だ。晋助に文句を言われる筋合いは無い』
「そうかい。それはこいつが隠していることを聞いても言えることか?」
にやりと口角を上げる晋助に銀時が怒りを顕にして木刀を振りかざす。
「黙ってればベラベラと……余計なこと言ってんじゃねぇよ」
「まだ話してないのか。そりゃ話せるわけないよなぁ。てめぇが──」
「黙れ!!!」
「てめぇが先生の首を斬ったなんてよ」
その一言は銀時と海の思考を止めた。悔しそうに歯噛みしている銀時は晋助を睨んだままで海の方を見ようとしない。海も晋助の言った言葉を理解しようとした。
『何……言って………』
「お前が俺らを庇って崖から落ちたあとだ。こいつは俺らの前で先生の首を斬り落としやがった。なんの躊躇いもなく」
「黙れって言ってんのが分かんねぇのかこの糞ガキ!」
晋助の話を遮るように銀時は何度も木刀を振り上げる。それでも晋助は余裕そうに過去の話を続けた。
「お前はこうなる事を分かっていなかったのか?それとも今まで目を逸らし続け、これからもそうしていればいいとでも思ってたのか?」
違う。銀時は隠し通せるとは思っていなかったはずだ。
──どうしても聞きたいってなら話してやるよ。でも、今はまだ待って欲しい。話せる時が来たらちゃんと話すから。
さっきだって銀時は話そうとしていた。本当はずっと話したくなかったのだろう。でも、海がしつこく聞いたから。
『あぁ……そりゃ……』
話しづらいわけだ。
ポツリと呟くと銀時は身体をビクリと跳ねさせる。それでもこちらを一切見ようとしないのは海のことを怖がっているからだ。
「海さん!!」
どうしたものかと悩んでいると、後方から新八の必死な声が響いた。抜け道のところで立ち往生していた夜兎たちが服部の罠を掻い潜ってきていた。
『あー……話は後だ。銀、新八と将軍はこっちで見るから』
そう伝えたが銀時からは返事は来ない。その代わりに海を追おうとしていた晋助の足を止めていた。
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