第250幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「道案内は先に送っといたぜ。忍に侍。仲良くこの国と一緒に滅んでいきな」
男は百地のカラクリの首を掲げて笑う。
それを見ても海達は微動だにせず、ただ静観していた。
『壊れたか』
「え、もしかしてまだ欲しかったのあれ」
『良くないか?アレ。欲しい時にすぐお茶が飲めるんだぞ?』
「茶ぐらいウチの新ちゃんがすぐ出すから!」
『屯所に連れてきてもいいのか』
「それはダメ」
ちっ、と舌打ちを零した瞬間、カラクリの頭が爆発した。それと同時に夜兎の後ろから飛んでくる手裏剣。咄嗟に将軍の頭を伏せさせると、手裏剣は海たちの周りに居た夜兎達を薙ぎ払っていった。
「立て、侍。忍もこの国もまだ死んでおらぬぞよ」
「百地さん!」
「走れー!」
夜兎の追撃が来る前に百地の後を追って走る。どうやらやられたのは百地のカラクリであって、百地自身は無事なようだった。
「生きてたんですね!つーか、それ手裏剣にもなんの!?」
「言ったぞよ。忍は死んでおらん。ヤツらが壊滅した忍はこの百地乱破に操られしただの人形。あの時死んだ藤林めの郎党どもよ。真の忍の戦はこれからぞ」
地面から続々と現れる忍たちは夜兎どもを蹴散らしていく。忍の戦力はあまり期待していなかったが、あれ程の実力があれば将軍が逃げ切るまでの時間稼ぎにはなりそうだ。
ただの夜兎だけであれば。
忍たちではあの男までは倒せない。きっと追いついてくるはず。
そう思ったのは海だけでは無かったようで。
「海」
『なに、近藤さ──』
ドンッと背中を押されて前にいる銀時の背中に顔をぶつけた。何事かと振り返った銀時に支えられつつ、後ろを見ると、百地が渡ってきた橋を手裏剣で破壊して戻れないようにしていた。
『近藤さん!土方!』
「海、そっちは頼んだぞ」
「そいつらに任せたんじゃウチの名前が廃る。最後まで将軍様を護り抜け」
『ま、待てよ……二人だけじゃ……!』
あの数の夜兎を倒し切るのは無理だ。万全な状態でも難しいのに既に二人は怪我をしている状態。
下手したら死ぬ恐れがある。
「万事屋!将軍様と海、頼んだぞ」
近藤はこちらを振り返らずに銀時に託す。
「承った」
『おい!銀時!』
その場に残ろうとする海を引きずるようにして銀時は歩き出す。
『銀……!』
「お前は担保だから」
『は……』
「あとでアイツらからきっちり報酬もらうから。将軍様護って、お前も無事に帰す。これだけの仕事をするんだ。それなりの報酬はもらうさ」
だから振り返らないで歩け。そう言って海の手を引く。
「それにお前が心配するほどアイツらは弱いのか?」
『そんなこと……』
「ならアイツらを信じてやれよ。生きて帰ってくるって」
あんなに近藤たちのことを気嫌いしていた銀時が彼らを信じてやれと。心配しなくても必ず生きて帰ってくると。
海以上に銀時は近藤たちを信じている。それがなんとも情けなくて、銀時の顔を見れなくて顔を下げた。
「どんくらい報酬もらうかなぁ」
「肉いっぱい食べれるくらい欲しいネ!」
「お寿司も食べたいですよね!」
「パフェ一年分……いや、一生分くらいねぇと釣り合わねぇよ」
それぞれ欲しいもの口々に言い合う。あれも欲しいこれも欲しいと並べて話は盛り上がっていく。
『ふっ……そんなにあげられるほど真選組に予算はねぇよ』
「あ?なら将軍様にも払ってもらうしかねぇだろ」
「そうだな。私が出そう。だが……」
「だが?」
「桜樹の妻に、か」
「ちょっと待って!?さっきからそれなんなの!?妻?誰が誰の!?」
「そなたは桜樹の妻なのであろう?」
「銀さんいつからそっち側になったんですか」
「銀ちゃん海に掘られる方に変わったアルか」
「んなわけねぇだろうが!!俺はいつでも海を押し倒す側ですー!」
銀時の言葉に何故か将軍はまたショックを受ける。ポロリと涙が零れ、それを見た銀時たちはオロオロと戸惑う。海が落ち込まないようにと話を盛り上げてくれているのは分かるが、銀時たちの話はすぐにあらぬ方向へと変わる。それに今はそんなおちゃらけた雰囲気をやっている暇は無い。
『あれ、ここに何しに来たんだっけか』
.