第247幕
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あ、ごめーん。傘開いたら飛べると思ったけど、やっぱ無理だった」
「オイ。どこのチンピラシータだてめぇ」
総悟の前に降ってきたのは番傘を手にした男。
空から人が降ってくるなんて物語と海だけだと思っていたが、実はそうでもないらしい。
にっこりと笑う男の下には先程まで総悟に向けて武器を手にしていた人間。傘の男とこいつらがどういう関係なのかはわからないが、総悟たちにとって目の前に立つ男は味方では無いというのは確かだ。
「そんな顔で見ないでよ。アンタの同類さ」
貼り付けたような笑みを浮かべる男は周りのヤツらをゴミのように片付けていく。
「お、沖田さん!あの人は味方なんですか!?」
「いや、違いますよ。あんな殺人ロボットみたいなやつ」
「じゃ、じゃあ……」
「はぁ……まったく、こんな時にあの人はどこに行ったんだか」
本来であればこの船は総悟と海で護衛するはずだった。総悟が乗船する間際まで海の姿があったのだから彼もここに居るはず。
それなのに一向に海は顔を出さないでいる。これだけの騒ぎになっているのだから出てこないなんておかしい。
「まさかあの人迷子になってるとかじゃないよな」
そんな事は有り得ない。そう思いたい。だが、彼の方向音痴を考えたら完全に否定は出来なかった。
「ちょっと!そんなに兄さんの方向音痴は酷くないよ!」
「……なんでお前がここにいるんでい」
ひょこりと現れたのは海ではなく、その弟。ムッとした表情で出てきたかと思えば、総悟に向かって文句をベラベラと並べる。
「兄さんはそんなに酷くないからね。知らない場所とかだとフラフラしちゃうけど、こんな狭い船の中なら迷子になんてならないよ!」
「どうだか。現に今居ないじゃねぇか」
「それはここに兄さんは居ないからだよ」
「は?」
「兄さんは船に乗ってないよ。ここじゃなくて近藤さんたちの方に行ったから」
話が違う。作戦では朔夜が近藤たちの方に行くはずだ。それなのに朔夜と海が入れ替わっている。
「近藤さんに言われたのか?」
「ううん。兄さんの独断」
「あの人は一体何してんだ」
「さぁ、僕にもよくわかんない。最初は向こうに坂田さんたちが居るから行ったのかと思ったけど、なんか違うみたい」
「違う?」
うーんと唸る朔夜にこれ以上は聞いても答えは返ってこないと判断した。
そんなことをしている間に傘の男は周りを片付け終わったのか、またにっこりと笑顔を貼り付けた顔でこちらを振り返った。
.