第247幕
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「いいか、作戦はこうだ。将軍を無事、京へ送り届けるため三人の影武者を立てる。本物の将軍は幕府御用達の貨物船の荷にまぎれ空から京に向かう。一人目の影はこれを隠蔽するため江戸に残る。二人目は海路で北へ。計画が露見した場合敵を撹乱する陽動だ。そして三人目は陸路を西へ。これも陽動だが、バレた場合最も襲撃される確率が高い死地。影武者を餌に敵を引き付け、獲物を腹から食い破るワナ。それがてめーらだ」
松平が作戦を話している中、近藤はこそりと土方に話しかけた。
「なぁ、これ上手くいくと思うか?」
「さぁな。上手くいかなければ将軍の首が取られるだけだ」
将軍を護るために考えられた作戦だが、それに伴って犠牲者も増える。相手だってそんな単純では無いはずだ。江戸に影武者を残したとはいえ、出港した船は残らず監視、または襲われる可能性が高い。
そしてこの作戦自体が外に漏れる恐れもある。それ故に将軍の護衛は限られた人間で構成されていた。
「うちの隊を連れてこられれば良かったんだけどなぁ」
「仕方ないだろ。ゾロゾロと引き連れてればそれこそ見つかりやすくなる。それに真選組が江戸から離れたらそれこそ相手に教えてるようなもんだろ」
「だけどよぉ」
「心配は要らねぇだろ。腕の立つやつに任せてるんだ」
今回、真選組から引き抜かれたのは五人。
局長である近藤と副長の土方は勿論のこと、一番隊隊長の総悟も加え、その下である朔夜も参加している。
「無理してねぇかな。海はすぐ飛んでっちまうだろ」
「死にはしねぇだろ。そうなる前に総悟が止めるはずだ」
本当は海一人に任せるはずだったのだが、心配だからということで総悟と共に行動するようにさせた。そこらの人間にやられる程弱くは無いのは知っているが念の為だ。一度スイッチが入ってしまったら暴走する海の事を考え、ストッパーになる人間を配置した。
総悟であればきっと海を止められると信じて。
「そういえば朔夜は何処にいるんだ?一緒に来てるはずだろ」
「それが見当たらねぇんだよ。変装していくとか何とかとは言ってたが」
「変装?何のために?」
「さぁ。兄弟共々何考えてんのかさっぱり分からねぇ」
屯所を出る際に朔夜は変装して行くのだと意気込んでいた。その理由を問うても気味の悪い笑みを浮かべるだけ。段々、兄である海に似てきたなと思いながら、土方は深くは追求しなかった。
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