第246幕
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屯所までの帰り道を二人で静かに歩く。松平の屋敷の周りには何人もの気配。将軍やそよ姫が屋敷に身を寄せているから警備も強くしたのだろう。
表立って人を増やせばあからさますぎる。その為、警備に当たっているのはお庭番衆だ。彼らならば誰かに見つかることなく屋敷を護ることが出来る。将軍を護るのにうってつけの集団。
『で?話ってのは?』
「あー……その」
言いづらそうに口ごもり、暗い空へと目線を上げる。銀時の言いたいことは何となくわかっていたので、こちらから答えを出した。
『残念ながら俺ではないな』
「えっ、なに!?俺まだ何も言ってないんだけど!?」
『俺が将軍を手にかけようとしたんじゃないかって聞きたかったんだろ?』
「そりゃ……まぁ」
『確かにめんどくさい男ではあるよ。あれやりたいだのこれやりたいだの、どこどこに行きたいだのって言っては
「文句しか出ねぇじゃねぇか」
将軍たちのわがままにどれだけ付き合わせられたことか。大半は松平の無茶ぶりというのもあるが、基本は将軍の思いつきだ。そのせいで死にかけたこと(スキー編)もあるのだから彼らのことはわがまま兄妹としか見ていなかった。
『でも、殺すまでの理由にはならないだろ』
「お前、この間物騒なこと言ってたじゃん。それって将軍が死ぬ事で成立するんじゃないの?」
『無理だな。定定が死んで、茂茂も死んだとしても幕府は潰れない。むしろその二人が死ぬ事で光を浴びる人間がいる』
「誰それ」
思い出すのは池田夜右衛門の首が斬られた瞬間。
あそこに居たのは喜々とその家臣たち。陰でコソコソと動き回り、茂茂の失脚を狙っていた輩だ。
あいつの手に幕府が落ちるとなれば、この国は終わるだろう。
『どこまで手を貸してるかなんだよなぁ』
「なに?何の話?銀さんに分かるように説明してくんない?」
『将軍が死ぬ事で喜ぶ奴がいる。そいつは将軍のすぐ近くにいて暗躍してる』
「うん。それは分かってる。けど、海はそれ以上のことを知ってるだろ」
ピタリと足を止めて銀時は真っ直ぐ海を見据える。隠し事はやめて全部正直に話せと目が訴えていた。
『全部を知ってるわけじゃない。将軍の周りの人間を観察してれば自ずと答えがわかる。ただ、証拠となるものが不足してるから確実にそうだと周りに言い切れないんだよ』
「それは"真選組"にはだろ?」
『確証はないからな?あくまで俺の想像だけど……』
「それでもいいから話してごらんなさいよ。なんか分かるかもしれないだろ?」
『……銀時の頭で何かが解決するとは思えないんだが』
「人が良かれと思って言ってんのになんなのこの子!」
キーッ!と怒る銀時に思わず笑いが零れる。一人で悶々と考え込むより誰かに話して整理した方がいいかもしれない。
『ん、ならのんびり話すから』
「おう。あ、それなら今日ウチ泊まらねぇ?」
『仕事があるから無理』
「ケチ」
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