第246幕
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「よしんば、バレたとしてもさらに奥の手を打つ。京に向かう本隊とは別に北に向かう影を用意し敵を撹乱する」
そして二人目の影武者が現れる。今度は顔も体格もしっかりと似ている……のだが、別のところは将軍ではなかった。
「そこは足軽でいいから!欲張んなくていいから!」
「さらに東に向かう影も用意する」
「おい、下の征夷大将軍、東に向かっただけ!帰ってこい!いったん帰ってこい!」
『もう……今日呼び出されたところから全部冗談なのかと思えてきた』
顔は大真面目なのにろくでもない内容にしてくる松平に呆れてため息しかでない。こちらの気分としては松平のお遊びに付き合わされているように感じてしまう。本人はきっとそんな事ないんだろうけど。
続々と現れる影武者たちに絶えずツッコミを入れる土方。近藤に至ってはもう何も言うことがないのか、口をあんぐりと開けたまま呆然と立ち尽くしていた。
「カゲ汁ブシャーー!」
『……なんでお前らまでいんの』
青、赤、黄色の着ぐるみに身を包んだ万事屋一行。冷めた目で三人を眺めていると、横から女の声が聞こえた。
「銀さん……?何で……何でこんな所に。もしかして私を……」
『土方。帰るぞ。もうここに居る理由はないだろ』
「あ?ああ……?」
ここにいたらストレスだけが増えていく。極秘任務だって言うから急いで来たというのに、ただの仮装ショーを見せられている。
『土方たちは残るって言うなら俺は先に退散するわ』
「いや、ちょっと待て!なにお前一人だけ逃げようとしてんの!?」
『逃げるなんて一言も言ってないだろ。暇じゃないんだよ。仕事ほっぽってこっちは来てるってのに』
「それは俺もだけどォ!?ただ話聞くのがめんどくさくなっただけだろう!!」
『近藤さん、俺先に屯所戻るから』
「ん?帰るのか?一人で平気か?」
『大丈夫』
土方からそっと視線を逸らし、海は一人部屋を出た。
襖を閉めようと振り返ると、ぬっと黄色い物体が視界いっぱいに広がる。
「ちょっと話があんだけど」
『……ならそれ脱いでこい。そのまま着いてきたら蹴り飛ばす』
襖をぴしゃんっと閉め、側に立っていた奥さんに挨拶をしてから松平の屋敷を出る。
「ちょ、待てって!」
後ろから駆け足で追いかけてくる銀時に深く深くため息をついた。
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