第246幕
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「いいか、コイツは密命だ。口外することは絶対に許さねぇ。てめぇらにはお庭番衆と組んで極秘任務にあたってもらう。将軍を江戸から連れ出せー!その命に代えても京まで護送するんだー!」
「とっつぁん!」
「声デカくね!?極秘任務なのに声デカくね!?」
『いつものことだろと言いたいけど、今回ばかりはそのデカい声控えて欲しいもんだな』
「冷静に茶飲みながら言うことじゃないよね!?」
先程、松平の奥さんから渡された茶をゴクリと一口。屋敷に来るまで水分を摂っていなかったせいか、久方ぶりに飲むお茶は酷く美味しく感じた。
「このまま江戸にいれば将ちゃんは間違いなく暗殺される!」
「アナタ!?」
松平の声が外に漏れているらしく、奥さんが驚きながら部屋の前に駆け寄ってきていた。
「アナタ何?暗殺って……」
「ああ、奥さん。ハハッ……酔っ払っちゃって……」
慌てて近藤が戸を開けてはぐらかそうとするも、松平はそんな事も気にせずに話し続ける。相変わらず局長の気苦労は減らないなとため息をついた。
将軍暗殺。それは数日前に遡る。
将軍である徳川茂茂が毒を盛られそうになったという話だ。しかも妹であるそよ姫によって。毒を口に含む前にお庭番によって助けられたみたいだが、またいつ狙われるか分からない。
暗殺を狙っている輩は将軍だけでなく、そよ姫の行動も監視しているのであろう。そうなると外部の犯行ではなく、内部に敵が潜んでいることになる。
『(松平のおっさんはどこまで把握してるのやら)』
将軍を京に連れていけと言っているところを見ると、内部に敵がいることは分かっているのだろう。だが、その相手が誰なのか。暗殺を主導している人間までは把握していないという感じか。
『護送の件が漏れた場合の対処はどうするんです?』
「何のためにお庭番が居ると思ってんだ、海ィ」
松平が背後の襖へと目を向けると、勢いよく襖が開けられる。そこから現れたのは将軍……にしてはかなり小さい人物だった。
『いや、無理あると思うけど……』
「顔だけ征夷大将軍!顔だけ超立派!バランス悪すぎだろ!」
『顔顔うるせぇな。お前は顔だけ見てんのかよ』
「誤解を招くような言い方やめてくれる!?別に顔だけ見てるわけじゃねぇよ!!」
土方の言いたいことも分かる。頭だけは将軍そっくりだから。図体は子供サイズなのだ。あれではすぐにバレる。むしろ良くそれで松平は良しとした。
『まぁ……身体が見えなければいいってのもあるけどな。あれだけ面が似てるのであれば』
「良くねぇだろ!!遠目から見てもすぐバレんだろうが!」
『だから胴体隠せばいいんだろうが。身体は箱の中に入れて頭だけ出しとけよ』
そうすれば問題は無いと言えば、土方は火がついたように騒ぎ出す。必死に宥める近藤に土方で遊ぶなと注意され、海は口を閉じた。
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