第245幕
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『それで?ただの夏風邪なのに銀時と新八があんな死にそうな顔になってんのはなんでだ?』
「そ、それは……えっと」
目を逸らして苦笑いを浮かべる神楽に深くため息をつく。その横で看護師も呆れた様子で神楽を見ていた。
仕事を終わらせ、神楽の見舞いに来てみたらこの状態だった。
病室から出てきた銀時と新八はこの世の終わりみたいな顔をしていたし、廊下にあった椅子に座っていたお妙は口元を手で押えながら泣いていた。それはまるで神楽が死んだかのような雰囲気。
そんなに症状が重いのかと不安になりながら病室に入ると、神楽はカッと目を開いて海を呼んだ。
それから神楽が話した内容はあまりにもバカバカしすぎて帰りたくなった。
『どうするんだ?アイツら完全に誤解してるぞ』
「海の方から上手く言ってくれたりとか……!」
『自分でやらかしたものは自分で収拾つけろ』
「で、でも!ここまでやっちゃったらもうどうしようもないアル!銀ちゃんも新八も私が死にかけてると思ってるネ!」
『そうなるように仕向けたんじゃないのか?』
「ここまでするつもりはなかったアル!ちょっと反省してもらうだけで!」
それがまさかこんな事になるとは思っていなかった。と繰り返す神楽になんと返せばいいか悩んだ。正直に夏風邪だと言えばいいのだが、そうなると銀時がふざけるなと怒りそうだし。
かと言ってこのままでは神楽の葬式が準備されそうだ。
『とりあえず数日の間は大人しくしとけ。突然元気な姿見せたりしたらそれこそ変だと思われる。死に際に元気になる中治り現象だと思われかねない』
だから数日かけて体調が安定してきたことにすればいい。一度は死にかけたが、奇跡が起こったとでも言えば上手くまとまるだろう。
部屋にいた看護婦に話してそうしてもらうように頼んだ。彼女は渋々といった感じで了承してくれたが、担当医である医者にもその旨の話をしてくれと言われた。
『これに懲りたらもう嘘なんてつかないようにな』
「うん。ありがとう、海」
『まったく……やり返したい気持ちはわかるけど、今回はやりすぎだな』
「こんな事になるならやらなきゃ良かったネ」
『でもこれで分かっただろ。神楽が思ってるよりアイツらは神楽のこと大事に思ってるんだよ』
「うん。毎日お見舞いに来てくれるし、食べたいものも買ってきてくれる。それなのに私……」
『落ち着いた頃にでも謝ればいいだろ。きっと笑い話になるさ』
悪い事をしたと反省し、そして銀時たちからちゃんと大事に思われていると知った。確かに神楽がしたことは許されることでは無いが、銀時と新八であれば笑って許してくれるだろう。
『まぁ、風邪ひいてんのは事実なんだからちゃんと休んどけよ?』
「うん!」
また来ると残して海は病室を出る。廊下に立っていた銀時が俯いていた顔をゆっくりと持ち上げた。
「神楽は……」
『今は落ち着いてる。けど、今日のところはもう寝かした方がいいかもな』
「そ、そうか」
ずんっと暗くなる顔に申し訳なく思いながらも、神楽たちが上手く元に戻るように話を合わせる。
来週ぐらいにはまた三人でふらふらと街中を歩いている姿が見れるだろう。
そう思っていた。
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