第243幕
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「まさかこんな日が来ることになろうとは。あの終が隊規違反を犯すなど」
「終兄さんは無口だから誤解を招きやすい。考えすぎじゃないすか、柱さん」
「出来ることなら俺も信じたいさ。だが、真実を捻じ曲げるわけにもいかぬ。それに古株の仲間とはいえ、彼のことを知っているのか?語り合ったことがある者がいるのか」
「言葉なんぞ交わさずとも野郎の人となりは知ってるつもりだよ。この際だ、ハッキリヤツの口から弁明させればいい」
着々と斎藤の処罰が進んでいくのを海は黙って見守っていた。
アフロと化した隊士たちや近藤たちに目もくれず、ただ大人しく座っている斎藤を見つめる。
『お前、いつまで黙ってるつもりだ』
「…………z」
早くこの茶番を終わらせて欲しいという願いを込めて斎藤に声を掛けてみたが、彼はぼーっとした顔でこちらを見返すだけだった。
その後、暫し土方と総悟の言い合いが続いた。彼らの話を聞き流していると、不意に斎藤が口を開いて喋り出す。
「あの~……どうでもいいけど、早くしてくんないすか。さっきからコソコソコソコソ。堂々と語り合いましょうや」
至極面倒くさそうにしながら斎藤は軽い口調で喋った。当然のことだが、周りにいた隊士たちは驚きで口をあんぐりと開けて固まる。
「どっ……どういうことだ終」
「とういうことって、首が懸かってんのにだんまり決め込むとでも?どんだけ~!こんな白州に立たされちゃ無口なミステリアスキャラもクソもないって話ですよ。そこまでキャラ徹してませんよ。ホント局長どんだけ~?」
「オイー!せきが切れたように喋り倒してんぞ!」
「喋っちゃダメなんすか。じゃあ帰っていいすか。パーマ緩んできたんで当て直しに行きたいんで」
「アイツあんな喋り方だったの!?何かショック!」
ぎゃあぎゃあ喚く近藤を横目に海はじっと斎藤を見つめる。すると、相手がこちらをちらりと見て軽く手を振ってきた。
『ん゙ん゙ん゙ん゙……』
「どうしたんですか海さん。そんな声出して。うんこでも我慢してるんですか?」
『……そうだな。ちょっと厠行ってくるわ』
「えっ……マジなんです?」
きょとんとしている総悟を置いてその場をひっそりと抜けた。斎藤が突然喋りだしたことであの場は混乱しているため、海が抜けたとしても誰も気づかないだろう。
『アイツらは何してんだよ』
斎藤が海に向けて手を振った時に見えた銀髪。それは塀の向こう側から見えた。その横にはここら辺では珍しい傘も。
『手を引いた……わけないか』
彼らがそう簡単に依頼を放棄するわけない。一度受けた依頼は必ず完遂する。
今回ばかりはそれがアダとなりそうだが。
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