第240幕
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「副長補佐、事件です!」
『また強盗か?』
「はい!先に他の隊のものが急行してます」
『わかった。俺もすぐ出る』
動物園でのことがあった翌日、盗人はまた金融会社へと盗みに入ったらしい。
局長よりも仕事熱心、いや悪業熱心というべきか。
老い先短い人間だというのに。一体何があの老人を駆り立てているというんだ。
『考えるのは後だ。今は早く行かねぇと』
上着と刀を手に取って部屋を飛び出す。門の前で待っていた隊士に声をかけてパトカーに乗り込み、襲われた会社へと急いだ。
「補佐!」
『悪い、遅くなった!今どういう状態だ』
被害にあった金融会社の周りには野次馬がチラホラと集まっており、隊士たちはその者たちの対処に追われている状況。そんな中でも犯人の行方を探そうと動き回っていたやつに声をかけて詳しい話を聞いた。
「いつもと変わらない強盗なのですが、どうやら……」
『我慢しきれなくなったか』
「みたいです」
『他の金融のところも見に行け!ここまで被害が出てるんだ。そろそろ結託する頃だ』
「は、はい!」
そうなるんじゃないかとは予想していた。ただ、思っていたよりも早く相手が動き出してしまったみたいだ。
ここまでやられれば誰だって報復を考える。これまで被害にあったやつらはもちろんのこと、同じ職を持つ者たちが結託して猿吉小僧を捕まえようと躍起になるだろう。
『良くて瀕死の状態か……』
近藤を追いかけたあの日。猿吉小僧の状態があまり良くないことを知った。
そんな状態で襲われれば命はないだろう。
今、この場に近藤と土方はいない。このまま二人に連絡をしなければこの状態を知ることは無い。
全てが終わった後に報告すればいいだけだ。
猿吉小僧には当然の報いだ、と。
『……めんどくせぇな』
そう割り切れることが出来たらどんだけ楽なものか。
深く深くため息を漏らしながら上着のポケットへと手を突っ込む。取り出した携帯で土方の番号を引っ張り出して電話をかける。
"もしもし。どうした?"
『早く帰ってこい。じゃねぇと、死人が出るぞ』
"は?どういう意味だ"
『また事件だ。猿吉小僧のな』
それだけ伝えて通話を切る。彼らがどこに行っているのかは知らないが、夜までには戻ってくるだろう。
『それまでに見つけるとするか』
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