第239幕
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ゾロゾロと隊士達を連れて歩きながら園内を見回るが、それらしい人物は疎か侵入した形跡も見つからず首を捻った。
「補佐、こちらも異常ありません!」
『そうか。なら次の檻を確認してくれ』
「はい!」
入口から動物園の中間地点までの檻は全て確認したが壊されていることもなければ、動物が逃げ出していることもない。
『土方。動物園に侵入者する理由って何が思い当たるよ』
「そりゃ動物を檻から出したり、ショップの金を奪ったりとかだろ」
『けど、どこも異常はない』
おかしい、と思いながら適当にフラフラと歩き回る。ふと、目の前にあった猿山を何気なく見た。
薄暗い中、猿らしき影がひょこひょこと動き回っているのが見える。侵入者が園内にいるというのに動物たちは気楽だな、なんて思いながら彼らを眺めていたとき。
明らかに猿とは違う影が見えた。目を凝らしてよく見てみると、それは人の形をしている。
『土方!あそこ!』
「あ?見つかったか?」
『見つかった……が、なんか見知った顔もいる』
猿に囲まれるようにして立っている男が二人。一人はいかにも盗っ人ですというような格好をしているじいさん。その横にいる男は先程土方が探していた男。
「……何してるんだあのゴリラは」
『ついに動物園に帰りたくなったみたいだな。いいんじゃないか?実家みたいなもんだろ?ここは』
「ふざけたこと言ってないで回収しろ。こんなことがバレたら俺らは全員切腹だ」
『近藤さんだけに責任押し付けるから問題ない』
盗っ人と一緒に動物園に侵入だなんて何を考えているんだ。いくら実家が恋しくてもそんなやり方で帰らなくてもいいだろう。ちゃんと正式な手続きを取ってから檻の中へと入ればいいのに。
『刑務所っていう檻の中だけど』
「お前ら!警笛を鳴らせ!」
土方の命令の元、隊士は慌てて笛を鳴らす。音に驚いた近藤はビクッと身体を震わしてこちらを振り向いた。
「そこのお前ら!何をやっている!夜な夜な怪しい侵入者が出没すると聞いて来てみれば、とんだボス猿が隠れていたらしいな」
『ボスはボスだけど、アレは猿じゃないだろ』
「お前は黙ってろ」
ゴツンっと頭にげんこつが落ちてその場に蹲る。そばに居た隊士に大丈夫かと問われたが、返事を返すことも出来ないくらいの痛み。とりあえず何度か頷いたが、頭を振る度にズキズキとしたら痛みが頭に広がる。
やり返そうと思って、土方の脛に蹴りを入れようとした瞬間、土方はばたりと倒れた。
『は?』
「副長!!」
『いや、何があった』
「侵入者の一人が副長に向かって石を投げたんです!それが副長の左目に!!」
『あ、うん』
蹴られるよりも酷い目にあっていた土方を哀れみの目を向ける。その間に侵入者達が逃げ出したというので、海はそのあとを追いかけた。
『どんまい、土方』
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